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エースの青柳が5回に横浜DeNA打線につかまり逆転を許す4失点の炎上
エースの青柳が5回に横浜DeNA打線につかまり逆転を許す4失点の炎上

なぜ阪神の岡田監督は開幕投手の青柳が5失点で”自滅”した敗戦を「一番しょうむない試合」と表現したのか?

 巡り合わせも悪かった。
 浮き球だけを逆方向にコンパクトに狙い続け、ここまで2安打とキーマンになっていた6番の関根に打席が回ってきた。シンカーで体勢を崩しがらもうまくひろわれた。ライト線への2点タイムリーツーベース。対応力で打たれたが、バットが振れていた関根だからこそ、バットもスムーズに出たし、何より青柳のボールにキレがなかった。
 囲み会見で、この日の青柳の制球難について「慎重にいきすぎた?」との質問が飛ぶと、虎の指揮官は、こう食いついた。
「いやいや、慎重やないやろ。ストライクが入れへんねんやから。それは、ちょっとお前、言葉よすぎるやん。開幕ピッチャーやで」
 青柳は、昨季のセ・リーグの最多勝、最高勝率、最優秀防御率の投手3冠王である。しかも、最多勝、最高勝率は、2年連続の球界を代表するサブマリンゆえに岡田監督の求める次元は、ひとつもふたつも上だ。
 だがらこそリスク覚悟で続投もさせた。
 ただ岡田監督は、キャンプ、オープン戦を通じて、ずっと不安を抱いていた。まじかで、打者の目線でそのボールを見たとき「本来のボールは、こんなもんと違うやろ」との疑念があったのである。
 開幕前に2人で“ミニ会談”を持ち、岡田監督がチェックしていた問題点を青柳にぶつけ、開幕の横浜DeNA戦、7日のヤクルト戦と、2試合続けての好投で、その不安点は解消して見えたが、3戦目にして指揮官が恐れていた青柳の“自滅パターン”が露呈してしまった。
 打線もまだ上向いてこない。
 横浜DeNA先発のガゼルマンは、ウイニングショットのチェンジアップ、ツーシームが高めに浮いて決して良くなかった。それでも2点しか奪えなかった。それもベンチが動いてもぎとったもの。2回二死一塁から横浜DeNAバッテリーの無警戒をついて、梅野に盗塁を成功させ、好調をキープしている数少ない打者の1人である木浪の前で得点圏に走者を進めた。その木浪が期待に応えて先制タイムリー。
「あそこまでは(ゲームプランは)完璧やったんやけどな」
 青柳がヒットで上位へつないだのは、想定外だったかもしれないが、近本にもタイムリーが生まれ、低調の打線の中で、生き残っている打者をうまくつないで2点を先にスコアボードに刻んだ。しかし、3回以降は、青柳とは対照的にガゼルマンを立ち直らせてしまったのである。
「開幕ピッチャーが(投げるゲームで)2点を先行してな。守りでうまいことしのいで、しのいでのゲーム。(青柳が)立ち直って、すっといかないといけない展開なんや。普通は」
 岡田監督の描いたプランが狂ったのは、そこだ。

 

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