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藤川監督がリプレー検証結果に異議申し立てをしてキャリア初の退場(資料写真:Imagn/ロイター/アフロ)
藤川監督がリプレー検証結果に異議申し立てをしてキャリア初の退場(資料写真:Imagn/ロイター/アフロ)

「藤川は監督としての器を大きくせねばならない」阪神の藤川監督が熊谷盗塁死のリクエスト結果に異議を申し立てホワイトボードを殴って退場…球界大御所が語っていた問題点とは?

 

 SNSでは、阪神ファンだけでなくソフトバンクのファンからも「セーフに見えた」という声が圧倒的で、現状のリプレー検証のあり方を問題視する意見も少なくなかった。
 ただリプレー検証の結果は覆らず異議は申し立てられないのがルール。日本のリプレーセンターは、メジャーと違い、映像カメラの台数も限られていて判定用の映像カメラもなく、どんなケースであっても精密な判断ができるわけではない。リプレー検証のルールには「判定を変えるだけの確証がないケースでは判定通り」となっており、これだけの長い時間をかけたことから推測するに、セーフに判定を覆すだけの確証が得られなかったため「判定通り」のアウトになったのかもしれない。
 こうなると、技術的な限界の問題で藤川監督が異議を申し立てたところで、今すぐ何かを改善できるわけではない。
 球界大御所の広岡氏は藤川監督についてこんな苦言を呈していた。
「藤川はメジャーも経験、独立リーグでも野球をやった苦労人。引退後はNHKの解説者としてネット裏から野球をよく勉強していた。そこは評価できる。ただ監督としての器をもっと大きくせねばならない。指導者としての管理能力にかかわる話だ。ベンチではどんと構えて、特に怒りの感情などを出してはダメだ。ヤクルトの池山のように選手を乗せて成功させている監督はいるが、藤川はタイプが違うだろう。優勝はしたが、歴代の監督が作ってきた遺産があってこそ成し遂げたものであることも理解しておかねばならない」
 また広岡氏は「監督の抗議」についてこんな持論を持っている。
「勘違いしてはいけないのは。敵は審判ではないということだ。今の野球では、抗議は遅延行為とみなされ即退場となる。監督が先頭に立ってチームを鼓舞することは、時には必要だが、やり方を間違っちゃいかん。岡田が監督時代に横浜DeNA戦で同じように二塁のクロスプレーについて抗議したことがあったが、抗議ではなく説明を聞きたいという立場で、審判と話をして退場にはならなかった。ルールを見極めた上の冷静な行動だった。監督は、背中で示さねばならない時もあるが、それには計算づくの冷静さが必要なんだ」
 広岡氏が、例に出したのは2023年8月13日の横浜スタジアムでの横浜DeNA対阪神戦での当時の岡田監督の抗議の場面だ。偶然にも同じく熊谷の二盗がアウトとされ、リプレー検証でも判定が覆らなかったが、岡田監督は、異議の申し立てではなく「説明を聞きたい」という立場で、二塁ベースの手前に足を入れてスライディングを止めた遊撃手の京田の走塁妨害を主張した。判定は覆らなかったが、のちに本塁上でのコリジョンルールは塁上のプレーにも適応されるようにルールが変わった。岡田監督は5分以内という時間も考慮して引き下がったため、退場にはならなかった。藤川監督にもそれくらいの冷静な姿勢が必要だった。虎ファンの多くは選手やファンの気持ちをくみとった藤川監督の退場劇を支持しているようだが、理想的な監督の行動とはかけ離れている。
 しかも、昨年の日本シリーズで1勝4敗と惨敗を喫したソフトバンクに交流戦での負け越しが決定。2年越しに実力差を見せつけられていることを深く受け止めなければならないだろう。
(文責・駒沢悟/スポーツライター)

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