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山本美憂が衝撃のTKO勝利でボクシングデビュー戦を飾る(写真・山口裕朗)
山本美憂が衝撃のTKO勝利でボクシングデビュー戦を飾る(写真・山口裕朗)

52歳の怪物女子ボクサー誕生だ!山本美憂が涙の衝撃TKOデビュー…負けた19歳下の相手は「今までで一番強いパンチだった」…“恩師”長谷川穂積氏は「やるならタイトルを狙わなきゃ失礼」

 医務室でチェックを受けて異常のなかった田口は氷で顔を冷やしながら振り返った。
「めちゃくちゃパンチが強かったです。何が効いたかわからないが、ガツンとくる感じ。今まで受けたパンチで一番強かった。しかもフィジカルが強い。ぶつかった時に下半身が強いなと思った」
 3か月前に山本の国内デビュー戦の相手としての打診があり「そこからずっと緊張していた。プレッシャーがあり、自分もあがっちゃってやってきたことができなかった」という。
 敗れたものの拳を交えた「美憂さんを凄い好きになっちゃった。私もボクシングを始めたのが遅かった。自分より年上なのに挑戦しているのが凄い。尊敬しています。私も1勝するまでは頑張りたい」という。
 山本にとってボクシングは憧れの舞台だった。
「夢というかずっとボクシングが好きだった。MMAに転向して練習の一環でボクシングをやり始めてから。まさかできるとは思わなかった」
 山本はすでに3月に豪州シドニーでの6回戦でデビューし、判定負けを喫していたが、日本のリングに立つことを熱望していた。
 だが、日本での公式戦にはJBC発行のライセンスがなければ出場できない。プロテストの受験資格は申込時に満34歳までで52歳の山本はプロテストからのライセンス取得は不可能だった。そこでひねり出された裏技が海外でライセンスを取得して外国人ボクサーとして日本のリングに上がる裏ワザ。山本はカナダ代表としてリオ五輪出場を目指したことがあり、その際、カナダに生活拠点を移してカナダ国籍を取得していた。そのカナダでライセンス取得するのがベストだが、ボクシングがアクティブでないため、豪州で試合出場した際にサウスウェールズで取得したライセンスがまだ有効だったため、今回はそのライセンスで、豪州所属の外国人ボクサーとしてリングに立てることになった。
 豪州やラスベガスなどのアスレチックコミッションがライセンスを管理している国では山本のようにレスリングや総合格闘技で実績のある選手に関してはメディカルチェックを経てライセンスを付与している。ただ今回は山本が高齢のためJBCが独自にMRIの検査を義務づけていた。
 正式に長谷川氏の指導を受け始めたのは今年3月。その後、毎週のトレーニングに加え、1か月半の合宿も組んだが、長谷川氏は、もうひとつの戦いがあったことを明かす。
「素質はむちゃくちゃある。でも年齢と戦っていかなくちゃならなかった。誰も52歳でボクシングをしたことがない。(練習量の)バランスをどうとっていくか。すべてが未知で僕らも手探りだった。結果を出してくれてほっととしている」
 ボクシングには追い込みなど試合から逆算して練習強度を上げなければならない時期もあるが、怪我をしては元も子もない。疲労も考慮しなければならない。長谷川氏は、山本の体調をチェックしながら特別のトレーニングスケジュールを組み準備させてきた。

 

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