52歳の怪物女子ボクサー誕生だ!山本美憂が涙の衝撃TKOデビュー…負けた19歳下の相手は「今までで一番強いパンチだった」…“恩師”長谷川穂積氏は「やるならタイトルを狙わなきゃ失礼」
元レスリングの世界選手権女王でRIZINで総合格闘家としても活躍した52歳の山本美憂が15日、後楽園、1戦1分けの田口智香(33、花形)とフライ級4回戦で国内ボクシングデビュー。3回1分51秒にTKOで下し男女含めて国内の史上最年長出場記録と勝利記録を更新した。試合後、リング上で涙した山本は「これからもずっとボクシング」と宣言。指導している元3階級制覇王者で現在「KOBE長谷川ボクシングジム」会長の長谷川穂積氏(45)は「やるならタイトルを狙わなきゃ失礼」とこの先の目標を定めた。

「夢の舞台に立てたことを幸せに感じます」
国内の女子ボクシングでこんなフィニッシュを見たことがない。
1312人で埋まった後楽園が揺れた。
3ラウンドだ。山本が、田口の出鼻に大きくスイングしたハンマーパンチのような左フックを合わせた。もろに被弾した田口は尻もちをついてダウン。立ち上がってくるもダメージが残っていた。山本は右を上下に打ち分けえ揺さぶりながら冷静にフィニッシュのチャンスをうかがう。左ストレートで遅いかかりロープを背負わせ、右フックがガツン、ガツンと2発入り、田口が崩れ落ちたところでレフェリーがストップ。ほぼ同時に花形陣営からタオルが投げ込まれていた。
応援に駆けつけていた元K-1王者の武蔵も興奮していた。
「パンチが重たい。フィジカルが桁外れでしょう」
田口はしばらくその場を動けない。山本は国内デビュー戦をTKO勝利で飾ったことを喜ぶ前に心配して敗者に駆け寄った。
「勝ったことより倒れちゃったのを見てはッとなった」
52歳。レスリング、総合格闘技と、世界の第一線を歩いてきたトップアスリートゆえの人間性が現れたシーンだった。
「(パンチが)当たったのは感じたが試合が終わったとは思わなかった。感触?何もない。ダウンを取ったパンチも覚えていない」
ただ無我夢中だった。
「夢の舞台。ボクシングのリングに立てたことに幸せを感じます」
山本はリング上で涙を流した。
控室に戻ると囲み取材に用意されたパイプ椅子に座り「今までやってきた練習を信じていれば結果がついてくるとチームを信じていた。ボクシングは、どうしてもやりたい夢だったので感謝しかない。ここまでくるのに色んな人が頑張ってくれた」と感謝の言葉を続けた。
1ラウンドは硬さが目立ち、まったく動けていなかった。
「1ラウンド目は、ラッシュをかけず、しっかり相手を見るという感じでいたが、その通りにはいかなかった」
ステップを駆使してパンチを放つ田口に翻弄された。
2ラウンドに入るとセコンドの長谷川氏が「先に、先に」と手数を促す。右のジャブがカウンターになって田口の顔面を捉えた。
そのラウンドが終わると長谷川氏が指示を送った。
「硬いのでもっとリラックスしてやろう。避けて打つよりガードをしてからでいい」
山本はそのアドバイスはもちろん長谷川氏らセコンド陣全員が笑顔だったことに勇気づけられたという。
「笑顔なんですよ。それでいいエネルギーが出てきて動けるようになった」
ガードを固めてプレスをかけることで、田口のステップワークが単調になり、豪快な左フックが炸裂した。
長谷川氏は「スパーリングでも倒しているパンチ。ひとつの武器でもあるが、あれだけではない」と称賛した。

