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山本美憂が衝撃のTKO勝利でボクシングデビュー戦を飾る(写真・山口裕朗)
山本美憂が衝撃のTKO勝利でボクシングデビュー戦を飾る(写真・山口裕朗)

52歳の怪物女子ボクサー誕生だ!山本美憂が涙の衝撃TKOデビュー…負けた19歳下の相手は「今までで一番強いパンチだった」…“恩師”長谷川穂積氏は「やるならタイトルを狙わなきゃ失礼」

 史上最年少となる17歳で優勝したレスリングの世界選手権、2018年にRIZINの参戦3戦目にして手にした総合格闘家としての初勝利、そして52歳でボクシングに挑み国内デビュー戦で奪い取ったTKO勝利…。その勝利の味の違いを尋ねると「ここからがスタートなんで、ここからです」とだけ答えた。
「スローモーションみたいな試合だった。ボクシングの魅力?まだまだ。そこをつきつめたい。やっている最中は楽しくない。死に物狂い。でも結果が楽しかったので良かった」
 3日後が、2018年に41歳で他界した弟の山本KID徳郁の命日だった。在りし日の姿をプリントしたTシャツをガウンがわりに入場した
「キッドができなかったことをやった。自慢します」
 天を見上げて祈りを捧げた。
 筆者も生前のKIDに直接聞いたことがあったが、彼は総合格闘家として絶頂期の頃から「ボクシングをやりたい」という夢をずっと抱いていた。弟の果たせなかった夢を姉は拳に乗せて後楽園デビューを飾ったのである。
 花道ではWBC世界ライトフライ級王者の岩田翔吉(帝拳)が感激していた。
「今年見たボクシングで最高の試合。KOするなんてまさか思わなかった」
 伝説の格闘家、山本KID徳郁が立ち上げたジム「KILLER BEE」で子供の頃から格闘技を始め、山本一家とは旧知の仲。山本の入場テーマ曲は岩田と同じだった。
「ボクシングをやり始めたときには、目をつぶったり、怖がるところがあり、アドバイスを求められたこともあるけれど、パンチがめっちゃある。特にフック系が強い。KIDさんからつながっている格闘家の系譜であり遺伝子なんでしょうね。改めてレジェンドだなと。でも52歳。今後が心配だけど、この経験をしちゃうと絶対にボクシングをやめられないと思う」
 山本はリング上で「これからはずっとボクシング」と宣言した。
 ボクシングでの目標を聞くと「チームと一緒にいけるところまでいく」と答えた。
 長谷川氏は具体的な目標を定めた。
「記念でやる必要はない。やるならなんらかのタイトルは狙いたい。そうでないとボクシングに失礼」と、日本タイトルやWBOアジアパシフィック、OPBF東洋太平洋の地域タイトル獲得に照準を定めることを明かした。現在フライ級では、日本同級王者が山家七恵(EBISU)、OPBF東洋太平洋王者が田口と同じ花形ジムの柳尾美佳と、2人の日本人王者がいる。ただそこにたどりつくまでキャリアは必要だろう。
「1戦1戦が大事になる」と長谷川氏が言う。
 ただ山本には年齢という壁がつきまとう。
 それでもこう言う。
「できるところまでやる。練習ができなくなってリングに上がるのは失礼。練習が完璧にできるなら上がる」
 敗れた田口もエールを送った。
「タイトルを目指して欲しい。いけるところまでのぼりつめて欲しい」
 生涯格闘家の山本に限界の2文字はないのかもしれない。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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