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鈴木彩艶がPK戦でファインセーブを見せてエクアドル戦勝利を導く(写真・アフロ)
鈴木彩艶がPK戦でファインセーブを見せてエクアドル戦勝利を導く(写真・アフロ)

「自分から先に動く」なぜGK鈴木彩艶は15年ぶり勝利のPK戦で”神セーブ”を見せたのか…プレミアで磨いた”駆け引き”と森保監督が新たな「プレーモデルを作った」正確無比なロングキック

 

 DF瀬古歩夢のバックパスを受けると、自陣のゴール前から右足をひと振り。ボールはハーフウェイラインの先にポジションを取っていた、代表初先発のFW谷村海那(横浜F・マリノス)の頭に正確無比に到達した。
 今夏から活躍の舞台としている世界最高峰のプレミアリーグも席巻し、大きな注目を浴びている彩艶のロングキックは、その後も何本も前線へ放たれている。実は今シリーズから意識して導入した新たな攻撃パターンだった。森保一監督が言う。
「彩艶はアストン・ヴィラでも、相手ゴールへ向かって一気にチャンスを作れるボールを蹴っている。なので、我々も攻撃パターンのひとつとして一気に相手の背後へ、という形を選択肢のひとつとして、トレーニングでプレーモデルを作っている。選手たちが状況に合わせて彩艶の良さをうまく引き出しながら、攻撃のチャンスにつなげてくれたシーンがいくつも見られたと思っている」
 プレミアリーグに与えた衝撃が、日本にもしっかりと伝わっているからか。右足を振り抜くたびに沸き起こる大歓声を、彩艶は「聞こえていました」と歓迎する。
「もちろんチャンスになったシーンもありますし、ミスキックになってもスタンドが沸いていました。チームとしても、そしてファン・サポーターのみなさんも、僕のキックからチャンスが生まれる、というところを認識してくれている中で、僕としては本当にやりやすい雰囲気が生まれてきたと思っています」
 彩艶自身はプロの第一歩を踏み出した浦和レッズ時代や年代別の日本代表、初めて海外へ挑んだシントトロイデン(ベルギー)、そして前所属のパルマでも前線へのロングキックを武器のひとつにすえてきた。それがひときわ脚光を浴びている現状に、プレミアリーグが持つ価値観を感じずにはいられないと苦笑する。
「もちろんイタリアでもキックからチャンスを作るプレーは、プレミアリーグと同じようにやっていました。それでも見られ方が違うというか、たくさんの人が見ているんだな、と。本当にフューチャーされているんだな、という感覚はあります」
 それでも、キーパーとして最優先させるのはシュートストップ。彩艶はこんな言葉をつけ加えるのも忘れなかった。
「ゲームの中で自分のキックを発揮できなくても何とも思いません。キックに目が行きがちかもしれませんけど、ゴールを守る仕事は僕のなかでは常に一番上なので、それを発揮できたらといつも思っています」
 両チームともにスコアレスで終わったエクアドル戦では、驚異的な反応速度をフル稼働させて相手のシュートをストップする見せ場は訪れなかった。それでも大会規定で前後半の90分間を終えて同点の場合は、延長戦を行わずにそのままPK戦に突入する中で、すべての神経をPKストップに集中させた。

 

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