「自分から先に動く」なぜGK鈴木彩艶は15年ぶり勝利のPK戦で”神セーブ”を見せたのか…プレミアで磨いた”駆け引き”と森保監督が新たな「プレーモデルを作った」正確無比なロングキック
大会規定が十分に浸透していなかったからか。PK戦実施の場内アナウンスにスタンドがさらに沸き、期せずして「ザイオン」コールも響き渡った。ゴールマウスに向かっていた彩艶は「それ(盛り上がり)は覚えていないです」と再び苦笑しながらも、ボールを自らエクアドルのキッカーに手渡す行動も見せている。
「それは相手のリズムを狂わせようかな、と。いろいろなことで少しでもプレッシャーを与えながら、という感じでした」
欧州の戦いで身につけた細かい駆け引きに、W杯北中米大会前までの活動期間から繰り返してきたPK練習が、エクアドル戦でのPKストップを生み出した。
「普段の練習からキックのタイミングをずらされたシュートに対する練習もしましたし、キッカーに対していろいろな取り組みのようなものができるようになってきました。練習と試合とでは雰囲気が違う部分がある中で、今回は試合の中でPK戦を迎えられたところで僕としても非常に良いイメージが生まれました。PK戦だけではなくて、ゲーム中のPKという場面にもしっかりと臨機応変に対応できればと思っています」
試合中のPKで思い出されるのが、2024年2月のアジアカップ準々決勝。1-1で迎えた後半終了間際にPKを決められた日本はイラン代表に屈し、守護神を拝命したばかりの彩艶は大会を通して好不調の波が大きかったこともあって批判にさらされた。
第3次森保ジャパンの最大にして最後のターゲットは、来年1月から2月にかけてサウジアラビアで開催される次回アジアカップでの覇権奪回。約3年の間に濃厚すぎる経験を積み重ね、身長190cm・体重100kgの体に宿る稀有なポテンシャルを開花させ、世界が注目する存在となった彩艶が放つ存在感がますます大きくなっていく。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

