• HOME
  • 記事
  • 格闘技
  • 「峠を越えた?今がピーク。年下なんかに負けられない」なぜ井上尚弥は中谷潤人に「たられば」を許さなかったか…“名参謀”真吾トレーナーに聞く真実…あの「ハロー?ソーリー」事件の真相も
父の真吾トレーナーが尚弥の勝利を称える(写真・山口裕朗)
父の真吾トレーナーが尚弥の勝利を称える(写真・山口裕朗)

「峠を越えた?今がピーク。年下なんかに負けられない」なぜ井上尚弥は中谷潤人に「たられば」を許さなかったか…“名参謀”真吾トレーナーに聞く真実…あの「ハロー?ソーリー」事件の真相も

 プロボクシングのスーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(33、大橋)が東京ドームでの中谷潤人(28、M.T)とのビッグマッチに3-0判定勝利して3日になるが、いまだその波紋が収まらない。井上が絶対の信頼を寄せる名参謀の父でトレーナーの真吾氏(54)に中谷を圧倒した「THE DAY」の真実を聞いた。

 

(写真・山口裕朗)

 「放心状態で何も聞こえなかった」

 令和の名伯楽は疲れ果てていた。
 試合が終わると井上尚弥、拓真の一家と共に東京ドームから地元の神奈川の座間へ車で移動した。もう12時を過ぎていたが、行きつけのラーメン屋を無理いって開けてもらい、ささやかな祝勝会を行い、翌日に改めて井上家といとこで元WBOアジアパシフィック&日本スーパーライト級王者の浩樹ら身内だけで焼き肉店で祝勝会を開いた。
 さらに真吾トレーナーには個人的な祝勝会の誘いが殺到しているが、疲れ果てて応じることができていないという。
「疲れました。もう放心状態ですよ」
 WBC世界バンタム級王者の拓真が、元4階級制覇の井岡一翔を迎え討ち、2ラウンド、3ラウンドと2度のダウンを奪い、3-0判定勝利、続けて尚弥が中谷とフルラウンドの緊迫の戦いを制した。
 それをダブルでチーフセコンドとして支えたのだからいつもより疲れが2倍になるのも無理はない。
 SNSでその真吾トレーナーの天然キャラが話題になった事件があった。尚弥、拓真、真吾トレーナーと3人揃って行われた試合後会見で、尚弥が、中谷戦についてのプランを質問され「プランは…プラン通り…ねえ」と真吾トレーナーにふった際、父が居眠りでもしているようにまるで反応を示さなかった。尚弥が「ハロー?」と呼びかけ、隣にいる拓真が足をゆすって気づかせるシーンがあったのだ。
 真吾トレーナーが「ソーリ―(ごめん)」と返答。井上兄弟が大爆笑、会見場もなごやかな雰囲気に包まれた。
「試合前までは張り詰めていて疲れなんか感じなかったが、終わった安堵感でどっと疲れました。記者会見では無になってボーッとして回りが何も見えていなかった。尚が何を喋っていたかも聞こえない。拓に『父さんだよ』と言われ我に返って思わず出て言葉が『ソーリ―』でし」
 尚弥と中谷の試合はそれほど濃密で緊迫感に包まれた試合だった。
 真吾トレーナーに3つ聞きたいことがあった。
 ひとつは尚弥が「重圧があった」と明かした負けられないプレッシャーの正体だ。1年前の年間表彰式でドームでの戦いを呼び掛けたものの勝って得るものよりも負けて失うものが多いリスクのある試合だった。
「もうほぼ毎回、受けて立つ方じゃないですか。プレッシャーよりも、年下なんかに負けられない。絶対に返り討ちにしてやるという気持ちが強かった。ここまでやってきたこと、置かれた立場が違うんだというプライドがある。もう井上尚弥は峠を越えたとか言っている人もいるようですが、今がピークだと自分も尚も感じている。その気合があるから、練習で追い込み、それがすべて自信に変わるんですよ」
 近くで尚弥を見てきた真吾トレーナーはそう証言した。
 プレッシャーよりも「気合」を感じていたという。

 

関連記事一覧