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ヤクルトがオリックスの絶対エース山本由伸から4点を奪い攻略した(資料写真)
ヤクルトがオリックスの絶対エース山本由伸から4点を奪い攻略した(資料写真)

なぜヤクルトはオリックス“絶対エース”山本由伸の攻略に成功したのか…先制点は「ファウルでは?」とネット騒然の“疑惑打球”

 先発の小川は、試合後に高津監督が、「シーズンのいい投球に比べるともうひとつ」と口にする状態で、制球に安定感を欠き、2回に一死一塁から3連打で1点を返され、二死満塁から福田に押し出しの四球を与えて同点にされた。しかし、3回に先頭の塩見が、山本にバックスクリーンの左に勝ち越しの一発を浴びせた。カウント1-2からの153キロの内角ストレート。
「ホームランを狙っていた?ないですね(笑)。振ったら当たったみたいな感じで入ってくれてよかった。追い込まれたので、コンパクトに強いスイングを心がけたが、当たってしまってホームランになっちゃいました」
 8回に打席が回ってきて、三塁打が出ていれば、サイクル安打達成という活躍を見せた塩見は、試合後のお立ち台で軽快トーク。
 さらに4回に先頭のオスナが初球の高めに浮いたカットボールを見逃さずにレフトスタンドまで運んだ。山本から3打点である。
 ヤクルトの山本攻略の理由を高代氏は、こう分析した。
「理由は2つ考えられる。ひとつは山本の不調。球威、変化球のキレ、制球がベストではなかった。訴えた左脇腹の違和感は急に出たものではなく、ずっとあったのかもしれない。シーズンでは42%を占めるストレートの配分が少なく、変化球が多かったのも、その影響かも。フォークはシュート回転していたし、好調時に比べて腕の位置が下がっていたようにも感じた。加えて神宮のマウンドは、ほぼ経験がないらしいが、あそこは特殊で、投げにくいという投手が少なくなかった。中日では川上憲伸。阪神ではメッセンジャーが嫌がっていたが、球場自体が外野へ向かって打ち下ろすようになっていてマウンドの傾斜を感じないらしい」
 昨年の日本シリーズは、新型コロナの影響で11月にずれこんだためヤクルトの本拠地ではなく東京ドームで開催され、山本は、神宮のマウンドを経験しておらず、キャリアを通じ、ここで投げたのは、2018年6月の交流戦での1イニングだけ。山本のような剛球派は、マウンドの傾斜を利用してボールに角度をつけてフォームバランスを保つ投手が多い。コンディションにプラスして、慣れないマウンドも影響したのかもしれない。
 高代氏は加えてヤクルトの戦略を評価した。
「真っ直ぐに張った塩見と、内寄りのボールだけを狙ったオスナの打撃に象徴されるが、ヤクルトはどんなボールでも追いかけるようなことをせず、早いカウントからでも、狙ったボールだけを打っていくことを徹底していた。山本は、どの球種もカウント球、勝負球に使える投手。色分けをして狙うと泥沼にはまる。野村克也さんがチームに根付かせ、高津監督が受け継いだミーティングの成果だろう」
 実際、オスナは「甘い球に狙いを絞って、そこまで(いろんな球種やコースを)追いかけない意識でやっている」とコメントしている。

 

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