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青森山田高からJ2町田の新監督に就任した黒田剛氏の初陣はスコアレスドロー(写真:松尾/アフロスポーツ)
青森山田高からJ2町田の新監督に就任した黒田剛氏の初陣はスコアレスドロー(写真:松尾/アフロスポーツ)

プロでも青森山田高スタイルが通用?!異例の転身を遂げたJ2町田の黒田新監督がロングスローまで繰り出してスコアレスドロー発進

 先発した11人のうち新加入組が7人を占めた。後半から途中された4人も新加入組。そのなかで横浜F・マリノスで活躍した左サイドハーフのエリキ(28、長春亜泰)と右サイドハーフの大卒ルーキーで、JFA・Jリーグ特別指定選手として町田でのプレー経験も持つ平河悠(22、山梨学院大)が、前へのスピードと推進力で仙台の守備陣へ脅威を与え続けた。
 前出したデュークは186cm84kgのサイズを生かして前線でターゲットになり、空中戦を巧みに制してエリキや平河らのチャンスも演出した。サガン鳥栖の金明輝前監督(41)が新ヘッドコーチとして黒田監督を補佐し、戦術面を含めて全体的なバランスを注視する。
 2018年10月に町田の経営権を取得し、オーナーを務めてきたIT大手、サイバーエージェントの藤田晋代表取締役社長(49)が、昨年12月1日付で町田の代表取締役社長兼CEOに就任。J1昇格を目指す姿勢がより鮮明になった新体制やオフに展開された積極的な補強が、伊藤監督をして「違ったやり方」と言わしめた。町田のごく近い未来を、太田はこう予測する。
「黒田監督は言語化するのがすごく上手くて、失点ゼロなどを含めて、言葉に説得力がある。勝つことに対してもめちゃくちゃ貪欲だし、プラスして金明輝コーチによってテクニカルな部分や戦術的な部分が落とし込まれている。引き分けたけど、ネガティブな要素はひとつもない。今日もメンバー外の選手が15人ぐらいいたけど、監督を含めてフェアに見てくれるので雰囲気もすごくいい。もっともっと成熟してくれば、より大人のサッカーができると思います」
 前半に放ったエリキやデュークのシュートがゴールバーに弾かれ、後半に平河が放った決定的な2本のシュートもゴールの枠をとらえられなかった。それでもデビュー戦をスコアレスドローで終えた黒田監督は、現在進行形で変わりつつある町田の可能性を強調した。
「点を取るには個人のスキルアップもそうですけど、グループでどのような崩しが必要なのか。今日はサイドからの攻撃や、デュークを起点とした攻撃がけっこう出ていたと思うので、その精度をもっと上げていくことが、いい守備からいい攻撃に繋がる。そのあたりを次の1週間で改善していけるように、攻撃の部分を詰め直していきたい」
 青森山田時代の上下黒色のジャージーを紺色のジャケットとズボン、襟なしの白色のシャツ、そして白いスニーカーとカジュアルな姿に変えて指揮を執る黒田監督は、シーズンを終えたときに町田に関わるすべての人々とJ1昇格を喜びあえる光景を思い描きながら、ホームにザスパクサツ群馬を迎える26日の次節へ向けた準備を進めていく。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

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