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青森山田高からJ2町田の新監督に就任した黒田剛氏の初陣はスコアレスドロー(写真:松尾/アフロスポーツ)
青森山田高からJ2町田の新監督に就任した黒田剛氏の初陣はスコアレスドロー(写真:松尾/アフロスポーツ)

プロでも青森山田高スタイルが通用?!異例の転身を遂げたJ2町田の黒田新監督がロングスローまで繰り出してスコアレスドロー発進

 公式会見の最後に、黒田監督はこんな言葉を紡いでいる。
「勝つ、イコール、守れることだと思っています。その意味でテーマやゲームプランは大きくぶれることなくやれたかな、と。引き分けだったので点数をつけるとすれば50点とした方がいいですけど、無失点だったことはしっかりと評価してあげたいですね。決定機をほとんど作られなかったのは、守備をずっとやってきた成果が出ていると思っているので」
 注目の初陣で「4-2-3-1」システムを採用した。1トップに入ったオーストラリア代表FWで、W杯カタール大会ではゴールを決めているミッチェル・デューク(32、前ファジアーノ岡山)を切り込み隊長として、前線から素早く、かつ激しいプレスをかけ続けた。
 さらに仙台の前線にボールが入ったときには、チャン・ミンギュ(23)と池田のセンターバックコンビを中心にすぐに潰す。身長183cm体重79kgのチャン・ミンギュはジェフ千葉から、186cm82kgの池田はブラウブリッツ秋田から加入した新戦力。仙台を率いる伊藤彰監督(50)は、10本のシュートを放ちながらゴールが遠かった理由にこう言及した。
「町田さんの前線からのプレッシャーや最終ラインの潰しがすごく激しかった。私が大宮のアカデミーを指導していたときから黒田さんとはよく対戦させていただきましたが、やはり今日のようなハードな戦い方で勝ち点を稼いでくる。そこに長けた監督だと思ってきました」
 監督だけでなくコーチ陣も入れ替わった町田は、練習中の雰囲気そのものも変わっている。昨年7月にパースグローリー(オーストラリア)から加入した35歳のベテランで、日本代表でプレーした経験も持つDF太田宏介が以前と異なる点を明かしてくれた。町田が国内外で延べ8チーム目となる太田自身は、仙台戦をリザーブのままで終えていた。
「練習の段階で失点しないようにみんなが体を張って、試合と同じテンションでやれている。僕もいままでいろいろな監督のもとでプレーしてきましたけど、日々の練習からピリピリした雰囲気を作る監督やコーチはなかなかいない。どうしても温くなってしまうので」
 1995年から監督を務め、全国高校サッカー選手権で3度の優勝に導いた青森山田では保健体育科教諭と主幹教諭も務めた黒田監督は、教育者の面影も新天地でのぞかせている。
 たとえば、開幕直前の今月12日に発表された今シーズンのキャプテン。黒田監督がキャンプ中に実施した“総選挙”を介して、早稲田大からレノファ山口を経て、2017シーズンから町田でプレーする右サイドバックの奥山政幸(29)に決まった。太田が続ける。
「1人2票で、理由をつけて投票箱に入れました。サッカーだけじゃなくてプライベートのことや、くだけた話もしてくれるので、距離感はすごく近いと思っています」
 プロの指導者になるとともに変わった点もある。
 青森山田時代を知る仙台の伊藤監督は「また違ったやり方ですよね」と、今シーズンの町田をこう振り返った。
「これはクラブの規模ですとか、持っている選手という立ち位置と、あとはコーチングスタッフですよね。そのへんはしっかりとカラーが出ていたのかな、と」

 

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