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中日とのゲーム形式の登板でダルビッシュは岡林の右膝にデッドボールをぶつけて表情をゆがめる(写真・日刊スポーツ/アフロ)
中日とのゲーム形式の登板でダルビッシュは岡林の右膝にデッドボールをぶつけて表情をゆがめる(写真・日刊スポーツ/アフロ)

ダルビッシュはWBC本番で“岡林死球ショック”を引きずらないか…SNSで中日とファンに「申し訳ない」と謝罪

 幸いにも病院で検査を受けた岡林は「打撲」と診断され骨には異常がなかった。今後は様子を見ながら練習を再開するとのことで、今月31日の開幕には間に合う見込み。大事に至らなかったことでダルビッシュも安堵しただろう。だが、投手とは繊細なポジションである。懸念されるのは、精神的な影響だ。今回の一件が、トラウマとなり、自分でも気づかないうちに、心と肉体の連結に狂いが生じてしまう危険性はないのだろうか。
 国際試合はデータが少ないため外角の配球に偏る傾向が強いが、得点圏に走者いるケースや要注意バッターに対しては、内角球の使い方がポイントになる。それだけにダルビッシュが、今回の岡林への死球がトラウマとなって内角に投げられなくなると苦しくなる。
 ダルビッシュは第1次ラウンドの最大の山場とも言える10日の韓国戦の先発が濃厚とされている。そして米国に渡った後の準決勝にも先発するとみられている侍ジャパンのキーマンの1人。もしダルビッシュが本来の姿を見失うようなことにでもなれば、世界一奪回計画の見通しが立たなくなる。
 現役時代に阪神、ダイエー(現ソフトバンク)、ヤクルトで投手として活躍した評論家の池田親興氏は、「その心配はないでしょう」と、WBCへの影響を否定した。
「ダルビッシュも人間だったってことですよ。彼が対戦を楽しみにしていた岡林にぶつけてしまったことで、申し訳ないという気持ちから、その後は明らかに動揺して、腕がふれなくなっていたけれど、紅白戦など“身内”との実戦での登板は“怪我をさせてはいけない”と気を使うものなんです。メジャーのポストシーズンの修羅場をくぐり抜けてきたダルビッシュです。WBCという国を背負う国際舞台での勝負となれば相手バッターに向かっていく闘争心が出て気持ちはまったく切り替わりますよ。技術的にはトラックマンデータをうまく扱い修正能力の高い投手です。岡林の怪我も幸いにも打撲ですんだようですし、引きずるものは何もないでしょう」
 池田氏の見立ての通りに、ダルビッシュには、そういう懸念を乗り越える逞しいメンタルが備わっているだろう。
 メジャーリーガーのトップを切って2月17日の侍ジャパンの宮崎キャンプに初日から合流。ダルビッシュを尊敬する若手投手の“指南役”としてチームをグラウンドの内外でまとめてきた。また野手のメンバーとも食事会を開催するなどチームの精神支柱と言えるリーダー的な存在となっている。そのダルビッシュが第2戦の韓国戦で結果を出せばチームは世界一へ向けて一気に上昇気流に乗ることは間違いない。ぶつけられた岡林も、なにより中日ファンも、ダルビッシュが、今回のショックを引きずらないことを願っている。
(文責・RONSPO編集部)

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