• HOME
  • 記事
  • 野球
  • なぜ阪神の岡田監督”神采配”は成功したのか…綿密裏舞台…カウント途中の異例代打の原口文仁が采配に応えてダメ押し2ラン
カウント途中に代打に出た原口が価値ある2ラン(資料写真・黒田史夫)
カウント途中に代打に出た原口が価値ある2ラン(資料写真・黒田史夫)

なぜ阪神の岡田監督”神采配”は成功したのか…綿密裏舞台…カウント途中の異例代打の原口文仁が采配に応えてダメ押し2ラン

 これには1985年に日本一監督となった吉田義男氏の影響が強い。吉田氏は、この年、打たれた投手を必ず同じ状況で続けて起用した。
 現役時代の岡田監督が、ベンチで迷う吉田監督にわざと聞こえるように「ここは福間(納)さんやろ」と、前日に打たれた当時のセットアッパーだった福間納氏の名前を出してケツを叩いたのが、きっかけになったという“都市伝説”もある。カウント途中の代打に前日にチャンスで凡退した原口を再び起用したのもそう。岡田監督は、用兵に関して、選手のモチベーションを最も大事にするのである。
 まさに“神采配”で開幕3連勝をもぎとった。
 それでも岡田監督は、しれっとして、こう言う。
「采配が当たってる? まあ当たってと言っても、俺にしたら普通のことやろ。こんなの。点取りにいくんやから。俺はそう思ったよ。みんなコーチも『これはすごい』と言うけど、すごくない。普通やろって。点取るためにやってるんやからな」
 オリックスの監督以来10年間、眠っていた勝負勘が、開幕3連戦で目覚めた理由は、3試合すべてで6得点した打線にあるという。
「思っている以上に打線が活発に打ってくれたから、なんか思い出すよな。点を取るためにどうしたらええかというのを。ヒットが出んかったら何もできないやんか、塁をにぎわせなかったらな。でもみんなが、フォアボールを選んで塁に出て、そういうことやるから、『よっしゃ、こういうやり方したら点取れるんちゃうかな』とか思い出してくるやんか。それはやっぱり選手がダイヤモンドを走り回ってるからや。ランナーが出なかったら何にもできへんのやからな。ハッキリ言うて。そういうことやん」
 3試合で選んだ四死球は実に17個。三者凡退に終わったイニングが3試合で5回しかないのだから、岡田監督の野球脳がフル回転して、勝負勘が蘇ってきたのも当然なのかもしれない。
 移動日を挟んで、4日から敵地で広島と3連戦、そして7日からは甲子園で昨年の優勝チームのヤクルトと対戦する。広島戦には、西勇、大竹、西純の3人が先発予定。
「先発があと3人投げてないので。(彼らが投げ終えてやっと)開幕みたいなもの。こういう良い形で望めるのは良いと思うし、3連勝で勢いがつくと思うけど、勢いというよりもどっしりと地に足をつけて、みんなでやっていきたい」
 岡田監督はいつになく雄弁だった。
 横浜DeNAの先発投手陣の調整がうまくいっていなかったこともあり、本物の一級品エースとはまだ対戦していないが、負ける気がしない。
 ネットが騒ぐ。
「あかん、ほんまにアレしてしまうやん」
(文責・RONSPO編集部)

関連記事一覧