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TG戦を3-2で制して7連勝の阪神。岡田監督の采配が光る(資料写真・黒田史夫)
TG戦を3-2で制して7連勝の阪神。岡田監督の采配が光る(資料写真・黒田史夫)

なぜ30勝1番乗り阪神の岡田監督は“神采配”を連発させるのか…木浪のバントと“1人1殺”リレー…原巨人と対照的だった7回の攻防

 実は、岡田監督は、前日の囲み会見で「明日は1、2番が打つやろ」と、近本、中野コンビの爆発を予告していた。「もう3打席目。打ちそうな感じがした」と、近本のタイムリーまでを想定しての木浪への手堅いバントだったのである。
 8、9回のゲームの締め方も見事だった。湯浅、岩崎を休養させると決めていた岡田監督は、8回を岩貞で乗り切ると、9回に“1人1殺”の仰天采配を繰り出した。
 浜地が一死から代打の梶谷に四球を与え、代打の丸がコールされると、左腕の及川にスイッチ、二ゴロに抑えた。続くブリンソンの2ランだけは、「あの風でホームランは予想していなかった。外国人じゃないといっていない」と想定外だったが、代打の中田が告げられると、今度は加治屋に交代、加治屋はフォークを見送らせて、見逃しの三振に斬ってとって1点差を守ってのゲームセット。
「向こうの代打の順番も、だいたいわかっていた。とにかく1点差でも2点差でも勝てばいい。最後、中田のところは最初から加治屋を用意していた」
 準備周到。原巨人は岡田監督の手のひらの上で転がされていたのである。
 
 15年ぶりに古巣の監督に復帰した際、岡田監督は「采配の駆け引きが面白くなるのは、辰(原監督)くらいやな」という話をしていた。
 前回の監督時代には、中日の落合監督と、巨人の原監督との化かし合いのような“ベンチの戦い”を楽しんでいた。だが、今回は他球団の監督で、監督歴が、一番長いのがヤクルト高津監督の3年。広島の新井監督は1年目で、中日の立浪監督は2年目、横浜DeNAの三浦監督もまだ3年目だ。若さと勢いは怖いが、監督としての場数が圧倒的に違う。
 その意味で、1年後輩で、大学時代に全日本で同じチームメイトになるなどの交流があり、計16年の監督歴を誇る原監督をリスペクトし、ライバルとも認め、「ベンチの駆け引きが楽しみだ」と言うのである。
 だが、一方で、こうも、話していた。
「まあ辰の野球は全部わかっているから」
 経験があればあるほど、その傾向や手の内も把握できる。
 ここまでの巨人との対戦成績は5勝2敗。すべてが岡田監督の思惑通り進んでいるのかもしれないが、「勝負の9月まで本当の手の内を隠す」のが、岡田野球の本領でもある。
 今日の交流戦前の最終戦となる巨人戦には、湯浅、岩崎の勝利方程式をスタンバイするという。先発には復帰した21日の広島戦で2勝目をマークしている期待の才木。対する巨人は、21日の中日戦で鮮烈なデビューを飾った育成ドラフト1位の松井である。
「才木は、いいピッチングしてくれると思う。相手も初めてのピッチャー。序盤に1点でも2点でも取って、後は、才木に頑張ってもらう」
 岡田監督はルーキーを攻略しての8連勝を目論んでいる。
(文責・RONSPO編集部)

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