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YA-MANがキックルールで朝倉未来に77秒TKO勝利(写真・RISE CREATION)
YA-MANがキックルールで朝倉未来に77秒TKO勝利(写真・RISE CREATION)

なぜ朝倉未来はYA-MANに77秒の衝撃TKO負けを喫して“引退”を表明したのか…垣間見えた油断とプレッシャー…RIZIN大晦日のカードは?

 試合後にリング上でマイクを持ったYA-MANは「平本、バーカ!お前ぶっとばすからな」とリングサイドで観戦していた平本蓮に喧嘩を売った。
「冗談抜きでリングじゃなくてもいい。ほんとむかついている。殴ってわからせないとダメだと思う。鈴木千裕に負けても噛みつき、ねちねちしている。あいつはリング外でやらないと黙らない。歌舞伎町で会ったらガチでぶっ倒しますよ」
 試合前に平本は、ABEMAの企画で記者会見の様子を批評したり、判定決着無しのルールを「台本通り」とも揶揄していた。
 ONEで活躍している総合格闘家の青木真也も「予定調和」などと発言し、SNSでは「茶番だ」「台本通り」などのワードが飛び交っていた。
「あれで試合の期待感がマジで薄まった」との怒りを内に秘め「KOしなければそうなっちゃうんで」と自分に言い聞かせていた。

 YA-MANは、「次はMMAで完全決着をつけたい」と、朝倉に大晦日のRIZINでMMAルールでの再戦を訴えた。
 だが、試合の数時間後に朝倉は衝撃的な決断を自身のインスタにアップした。
「全く記憶がなくて、自分が何者かもわからない状態で朝倉未来を調べて客観的に見てみて。これはもう引退ですね。何でこんな自分に沢山のファンがいるかもわからない状態ですが、長い間本当に格闘技にはお世話になりました。ありがとうございました。今の気持ちです」
 引退を表明した。
 これが初黒星ではない。RIZINでは、斎藤裕、クレベル・コイケに敗れ、この7月30日には、ウアガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)に1本負けを喫していた。昨年9月にはボクシングルールのエキシビションマッチでフロイド・メイウェザージュニア(米国)にも2ラウンドで倒されている。その度に、引退が囁かれたが、再起してきた。しかも、今回は初挑戦のキックボクシング。だが、朝倉からすれば“格下”と捉えていたYA-MANに完敗してケラモフ戦に続く連敗。YA-MANが「たぶん未来さんなりの挑戦だったんじゃないか。MMAでずっとやってきて、同じ競技で、ずっとやるモチベーションを維持するのは大変」と指摘したように、クレベル、ケラモフへの雪辱が残っているものの、格闘家として戦う理由を失っていたのかもしれない。
 自らが立ち上げた異色の格闘イベント「ブレイキングダウン」が大ブレイクし、プロデューサーとしての仕事が多忙となり、どこかで格闘家としての“死に場所”を求めていたようにも感じる。たとえ、今後、気持ちに変化が表れて、引退を撤回することになったにしろダメージを考えると時間的に大晦日での復帰は無理だろう。
 おそらくRIZINは、恒例の大晦日大会に一躍スターダムにのし上がったYA-MANを起用することになる。YA-MANが「MMAでボコボコにした後にファイトクラブでボコボコにするのもおもしろい」と挑発した平本蓮とのMMAマッチが因縁めいて面白いかもしれないが、果たして…。格闘界は、世代交代の大きなうねりに突入しようとしているのか。

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