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10回KOで2階級4団体統一をやってのけた井上尚弥と弟の拓真、真吾トレーナー(写真・山口裕朗)
10回KOで2階級4団体統一をやってのけた井上尚弥と弟の拓真、真吾トレーナー(写真・山口裕朗)

なぜ井上尚弥はタパレスをKOするのに手を焼いたのか…来年5月に東京ドームで“悪童”ネリとのビッグマッチ計画

 井上が頭をつけて互いにボディを殴り合うシーンなどキャリア26戦目にして初めて見た。どこか井上が、そのディフェンスを崩してKOパンチを的中させることへ意地になっているように見えた。
「意地というか。突破口を見つけて、どう崩していくか。軽いパンチでもいいから当てて崩していこうという感覚。ダウンを取っても攻めすぎず、カウンターを狙ったり、攻めたり、出させたり、いろんな考えで試合を進めた」
 井上は、過去最多となる116ラウンドのスパーリングであらゆるパターンを想定して積み上げてきた“引き出し”をふんだんに使う。プレスを緩めて誘い、餌のパンチを打ってカウンターを狙い、あえてコーナーを背負ってみることまでした。
 それでもラウンドが重なり井上は「判定も(頭を)よぎった」という。
 だが、しかし…「冷静な対応」という名の矜持は捨てなかった。
「ここまで優勢に進めているので倒したかった。でも無理していってKOを狙えるほどボクシングは甘くない。そこは冷静に進めた」
 その中で生まれたKO決着。すべてが必然の結末だった。
 
 敗れたタパレスはリング上で泣いていた。
「できることはやり尽くしたが、残念ながら起きるべきことが起きてしまった」
 体感したモンスターを「井上はボクシングが上手いなと感じた。スピードに驚いた。速くて追いつけずタイミングを合わせることができなかった」と振り返った。
 40戦のキャリアを誇り、過去に3人の日本人ボクサーに煮え湯を飲ませてきた「ナイトメア(悪夢を見させる)」は「スピード」を強調した。パンチ力はどうだったのか?と聞くと「凄く強かった。ストレートが」とうなずいた。
 プロモーターのショーン・ギボンズ氏は、母国の英雄、元6階級制覇王者のマニー・パッキャオから試合後に激励のメールが届いたことを明かした。
「フィリピンのプライドを見せた。誇りに思う。相手はパウンド・フォー・パウンド(階級を超えた最強ボクサー)なんだ」
 パッキャオの言葉がすべてを表している。
 ジャッジの一人がフルマークを付け、2度ダウンを奪っての井上の完勝だったが、10ラウンドまでタパレスが持ちこたえたことが称賛されるほど、パウンド・フォー・パウンド1位へ復活の可能性のある井上は違う次元にいるのである。
 2階級4団体統一王者は、この7月に達成したばかりのテレンス・クロフォード(米国)に続き、史上2人目の快挙となった。クロフォードは6年かかったが、井上は、わずか2試合、スーパーバンタム級の転級初戦でスティーブン・フルトン(米国)を倒して、2つのベルトを獲得してから5か月のスピード達成だった。
 その歴史的なリングの上から見えた景色について井上は熱を込めて語った。
「4本のベルトを肩にかけて、終わった会場の雰囲気を見た。自分の中でも感動的だった。それを見せてくれたファンの方々に感謝を伝えたい」
 そして「4本のベルトを今後どうするかを考えていくが4本のベルトがどうなってもまた熱い試合を見せたい」と続けた。

 

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