「恥を知らない独裁者」トランプ介入で米国FW出場停止処分解除…ベルギー協会の意義申し立てFIFA却下も「理由説明なし」で世界中から非難「歴史上、ここまで露骨に規則が踏みにじられ…」
サッカーW杯北中米大会で前代未聞の問題が起きた。ベルギーとの決勝トーナメント2回戦直前に前戦でレッドカードを受けていた米国のエースFWのフォラリン・バログン(25)の出場が許可されたのだ。ドナルド・トランプ大統領がFIFA(国際サッカー連盟)のジャンニ・インファンティーノ会長に電話を入れた“政治介入”が明らかになり、世界中から非難の声があがった。ベルギーサッカー協会が異議申し立てを行ったが却下された。残された手段はCAS(スポーツ仲裁裁判所)への提訴しかないが時間がない。
FWバログンの前戦でのレッドカードを「あれはファウルではない」
サッカーの信頼や価値を失墜させる決定が下された。FIFAは決勝トーナメント1回戦(1日、日本時間2日)のボスニアヘルツェゴビナ戦の後半19分に相手の足首を踏み、VAR判定の結果、レッドカードを示され一発退場となり、本来であれば自動的に次戦も出場停止となるはずの米国FW、バログンの出場を認めたのだ。
ベルギーの専門メディア「フットバルクラント」によると、FIFAは、懲戒規程第27条にある「FIFA懲戒委員会が一定条件のもとで出場停止処分を一時的に解除できる」を適用したという。
異例の決定だが、トランプ大統領が政治介入していたことが明らかになり、大騒動に発展した。
米「ニューヨークタイムズ」など複数のメディアによるとトランプ大統領は、自身のSNS「Truth Social」及び、ホワイトハウスの大統領執務室で行われた会見で、FIFAのインファンティーノ会長に電話を入れたことを明かしたのだ。
「バログンのプレーはファウルではなかった。トップスピードで走っていた2人の男がぶつかっただけだ。意図して正確に他人の足の上に自分の足を乗せることなど不可能だ」とレッドカードの判定に疑問を呈して「この審判は過去の経歴を見ても少し疑わしい部分がある。誰も信じられないような判定を下した」とブラジル人の主審ハファエル・クラウス氏まで批判した。
そして「私がしたのは、プレーの見直しを求めただけだ。あれが反則だとは思わなかったからだ。しかしFIFAに何かを命じたわけではない。インファンティーノは非常に賢い男だ」と事実上の政治介入をしたことを明かしたのだ。
ベルギーサッカー協会は、ただちにFIFAへ異議を申し立てたが却下された。
同協会は「我々は出場資格を認めた決定書の写し、その法的根拠を示す説明、および審判報告書についても受領していません。これはFIFA規則に違反するものです」との声明を出してFIFAの決定を批判した。
だが、このトランプ大統領の政治介入によるFIFAの決定は世界中から猛反発を受けた。
欧州サッカー連盟(UEFA)は「自動的に適用される退場処分を無視したことで、FIFAは越えてはならない一線を越えた」とする声明を発表。ブラジルメディア「ge」によると自国が派遣した審判について疑いをかけられたブラジルサッカー連盟も声明を発表してトランプ大統領の発言を否定した。
「クラウスは現役最高峰の主審の一人として世界的に認められている。彼のこれまでの経歴には、その名誉を傷つけたり、いかなる疑惑を裏付けたりする要素は一切存在しない」
サッカー界のレジェンドやジャーナリスト、メディアからも非難の声が相次いだ。
英ITVで解説を務めた元イングランド代表のギャリー・ネビル氏は、こう語った。
「恥ずべき出来事だ。最も問題だと思うのは本来なら誤った判断を修正するための制度が存在すべきだということだ。しかしその制度は存在しない。そして今度はFIFAが、何の事前通知もなく、ある選手の出場を認める決定を下した。もし私がベルギーの立場なら激怒しているだろう。驚いたかって? あの連中については、まったく驚かない」

