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オークスを制してゲストプレゼンターの倉科カナ(左)に祝福される今村聖奈騎手(右)(写真・スポーツ報知/アフロ)
オークスを制してゲストプレゼンターの倉科カナ(左)に祝福される今村聖奈騎手(右)(写真・スポーツ報知/アフロ)

感動オークス勝利!なぜ今村聖奈は「女性は腕っ節が弱く追い比べに弱い」とのレッテルを剥がし史上初となる女性騎手のクラシック制覇を成し遂げることができたのか?

 競馬の世界では「女性は腕っ節が弱く、追い比べに弱い」とのレッテルを張られ、クラシックやGⅠのようなビッグレースへの騎乗は避けられがちだった。今回の今村もGⅠの騎乗は3度目。過去2回はほぼノーチャンスだった。
 実際に重賞や特別レース以外の平場戦では女性騎手に対し、負担重量が通常より一律2キロ軽い減量の恩恵がある「負担重量減量制度」が設けられているのも肉体的な不利を考慮されたからだと言える。
 ただ、海外では男性と比べても遜色のない実績を持つ女性騎手が早くからいた。代表的なのは1990年代に米国クラシックのベルモントステークスを勝つなど、通算3700勝以上を挙げて殿堂入りを果たしているジュリー・クローン。

最近ではオーストラリアからJRA短期免許でたびたび来日し、昨年のフェブラリーステークスをコスタノヴァで制し、女性騎手としてJRA史上初の平地GⅠ制覇を成し遂げた”キング姉さん”ことレイチェル・キングがいる。彼女の特徴は小柄ながら体幹の強さから来る馬を追わせる技術だ。
 JRAでは藤田菜七子元騎手がそのさきがけとなった。2019年のカペラステークスを制し、その後フェブラリーステークスでGⅠ初騎乗。そこから今村、永島まなみも重賞を勝ち、兆しは見えては来ていたものの、まだ高い壁があると思われていた。
 しかし、この日、今村が、その壁を乗り越えた。

まさに「腹が座った」会心の騎乗だった。外枠から好スタートを決めると馬場の内に馬を誘導し、リズム良く中団やや後方に構えた。最後の直線も迷うことなく馬群の中へ。前の馬との距離を考えると届かないかと思われたが、全く慌てたそぶりはなく、じわりじわりと追い上げ、差し切った。
 「この馬の力は私が一番知っている。馬の力を信じていました。彼女はすばらしい馬。私が乗っていてもついて来い、と男気がある」
 師匠として今村を支えて来た寺島調教師は「今回がダメでも次があるだろうとは思ってましたが、いきなりチャンスをものにして騎手も馬も凄かった。今後は馬の状態を確認し、オーナーと相談して考えていきたい」と話した。

馬主の近藤健介氏にとっては2頭目の所有馬。運の強さもあるが、今村を信じて任せた男たちの胆力があったからこそだろう。
 この勝利にはもうひとつドラマがあった。今村の父・康成さんは元JRA騎手で、調教助手として2013年のオークス馬メイショウマンボを担当しており、そのことが少女が騎手の道を志すきっかけにもなった。
「これからも1頭1頭にきちんと向き合って、馬に乗る楽しさをいろいろな人に伝えていきたいと思いますし、次の1勝ができるように頑張りたいと思います」
 馬と人々の絆が結実したこの勝利は歴史的な記録としてはもちろん、競馬ファンにとって忘れられない記憶としても永遠に刻まれる。そして女性騎手にとってもこれ以上ない励みと刺激になるはずだ。

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