「契約満了になるかも…」戦力外危機もあったJFL出身の“苦労人”FW谷村海那が28歳でサプライズ選出!森保監督は「J1で一番点を取っているだけでなくチーム戦術の中で多くの場面に絡む」
コツコツと積み重ねた努力は、もともと恵まれたサイズを持っていた谷村にハードワークを完遂させる無尽蔵のスタミナを搭載させ、同時に得点感覚をも開花させた。出場試合数に比例するように得点数も増え、いわきがJ2へ昇格した2023シーズンは7ゴール、2024シーズンにはリーグ2位タイの18ゴールをマーク。そして2025シーズンにチーム最多の8ゴールをマークしていた7月にマリノスへのステップアップ移籍が決まった。
そしてマリノスで昨シーズン後半で6ゴール、今年前半のJ1百年構想リーグで全体トップタイの10ゴール、前述したように8月に開幕した今シーズンでは2位タイの6ゴールを積み重ねてきた中で第3次森保ジャパンに初招集された。
特に今シーズンは放ったシュートが15本、6ゴールで決定率は40.0%。8ゴールでランキング首位に立つ昨シーズンの得点王レオ・セアラ(鹿島アントラーズ)のシュート33本、8ゴールで決定率24.2%だから、谷村がいかに数少ないチャンスを、さまざまなパターンから決めているのかがわかる。
W杯北中米大会代表のFW陣からは、オランダ代表とのグループステージ初戦で同点につながる強烈なヘディングシュートを放った小川航基が選外となっている。8月下旬にNECナイメヘン(オランダ)からFC町田ゼルビアへ移籍した小川も、すでに2ゴールをマークしている。それでも谷村を選んだ理由を問われた森保監督は「単純に2人を入れ替えたわけではない」と前置きした上でこう語った。
「谷村はJ1リーグの日本人選手で一番点を取っているだけでなく、点を取る過程でチーム戦術の中でより多くの場面に関わりながら最後に点を取っている。全員攻撃、全員守備を考えたときに、彼がチームにフィットして最後に点を取ってくれる、チームを勝たせてくれるプレーをしてくれる、と考えて招集した」
数えて4部にあたるJFLからもがき苦しみながらも、J3、J2を経てJ1の舞台へたどり着き、さらに28歳という遅咲きで初の日本代表入りという快挙も実現させた。努力は決して裏切らないと、日本サッカー界へ熱いメッセージも届けた身長183cm・体重81kgの苦労人ストライカーは、マリノスを介してこんな言葉も残している。
「これまで自分を成長させてくれたいわきFC、そして新たな挑戦の機会を与えてくれた横浜F・マリノスに本当に感謝しています。日本代表という舞台でも、これまで自分が大切にしてきたことを変えず、自分らしくプレーしたいと思います」
移籍を決めるまでに逡巡を重ね、いわきでの最終戦後には思わず涙した心優しき男は未知の戦いでどのようなプレーを見せるのか。森保ジャパンは24日にウルグアイ(キューアンドエースタジアムみやぎ)、28日にベネズエラ(エディオンピースウイング広島)、10月1日にエクアドル(横浜国際総合競技場)、そして同5日にはパナマもしくはニュージーランド(国立競技場)各代表との国際Aマッチ4連戦に臨む。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

