“神の左”か、”琉球の破壊王”の左か…井上尚弥を狙うバムのスーパー王者格上げで”二重王座”が解消し「綺麗な形になった」WBA王座決定戦に挑む増田陸は比嘉大吾を倒して世界を獲れるのか?
トリプル世界戦(7月20日、両国)のメインで行われるWBA世界バンタム級王座決定戦で元WBC世界フライ級王者、比嘉大吾(30、志成)と拳を交える同級1位の増田陸(28、帝拳)が7日、新宿区の帝拳ジムで公開練習を行った。「真剣で向かってくる相手にライフルを打ち込む展開にしたい」と勝利イメージを語った。
七夕の短冊に書きたい言葉は「世界平和」
哲学者か、修行僧か。
着ていたTシャツは、1960年から1967年まで王座に君臨したWBA、WBC世界スーパーフェザー級統一王者フラッシュ・エロルデ(フィリピン)の白黒写真がプリントされたもの。普通は、宣伝も兼ねて試合用に作製したTシャツを着用するものだが、それを着ていたのは、大和心トレーナーだった。
沼田義明氏と何度か激闘を演じたエロルデの呼び名は「フラッシュ」。増田が前戦で8回TKOで仕留めた”レジェンド”ノニト・ドネアの「フィリピーノ・フラッシュ」のニックネームもエロルデから拝借したもの。増田は、そのTシャツ着用に「特にメッセージはない」と言ったが、報知スポーツの記者からふられ「ジャパニーズ・フラッシュを拝命したいという気持ちも少しあります」と返した。
KOにこだわりのある増田にすれば、そのTシャツに「倒す」というメッセージを秘めていたのだろう。
この日は七夕だった。短冊に何を書くかと聞かれ「世界奪取」ではなく「世界平和」だという。
「平和じゃないとボクシングなんかできるものではない。今も戦争をしている国もあるわけですし世界が平和になって欲しいという純粋な思い」
まだフォロワーが1万人に届いていないインスタには、配信ではなく、会場に足を運び、五感でボクシングを体感して欲しいとのメッセージを載せた。
「携帯一つで見れる便利な時代。画面では伝わらない部分が多くある」
養老孟司氏の「脳は耳で感動する」という本を読み、それをファンに訴えたいと思った。
どこか思考がジムの先輩である元WBA世界ミドル級スーパー王者の村田諒太に重なるところがある。こういう自己と向き合えるボクサーは強い。
増田はシャドー、ミット、サンドバックと軽く3ラウンドを動いただけだったが、視察した比嘉陣営の野木丈司トレーナーも、その精神性に注目した。
「考え方が独特、哲学的、自然を好むこと、世界平和いったような、ちょっと珍しい精神性。好きなタイプですね。でもどんな精神性であろうが、リングに入って真剣勝負をすると95%は思うようにいかない、お互いそこが問われるでしょう」
懸念事項も解決した。記者発表の時点で正規王者は6月13日にアントニオ・バルガス(米国)を6回KOで下して3階級制覇に成功したジェシー“バム”ロドリゲス(米国)だった。バムがバンタム級での統一戦を狙ってスーパー王者に格上げされるか、井上尚弥とのビッグマッチを見据えて返上するかの見込みがあり、王座決定戦が発表されるも、ファンを混乱させる前代未聞の”二重王座”発表だった。
だが、月変わりのランキング発表でバムがスーパー王者に格上げとなり、正規王者が空位となり、増田と比嘉の王座決定戦が承認される方向になった。
増田は「比嘉選手と戦うことだけに集中していたのでぶれることはなかったが、綺麗な形でタイトル戦になって嬉しく思う」と本音を明かした。

