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西武の栗山巧の引退セレモニーに登場した中村剛也はドラフト同期だ(西武ライオンズ公式Xより)
西武の栗山巧の引退セレモニーに登場した中村剛也はドラフト同期だ(西武ライオンズ公式Xより)

なぜ西武・栗山巧の引退試合がシーズン最中の8月30日に行われたのか…職人が放った2152本目のヒットが伝えたかったもの

 西武一筋で25年間プレーし今季限りでの現役引退を昨季終了後に表明していた栗山巧外野手(42)が30日、ベルーナドームで行われた楽天戦で引退試合、セレモニーを行った。午前中に都内のホテルでファンの前で引退記者会見を行った栗山は「6番・DH」で先発出場し、8回の最終打席で、通算2152本目となるヒットを記録し、試合は4-1で勝利した。なぜ栗山の引退試合がシーズン最中の8月30日に行われたのか。

 「一番は今日打つヒットになる」と引退会見で予告

 ベルーナドームが静寂に包まれた。
 西武の2点リードで迎えた8回裏の攻撃。先頭の3番・長谷川信哉が自身初の2桁に到達させる10号ソロを放ち、6番の栗山に打席が巡ってくることが確定した中で、二死無走者で背番号1が左打席に立った瞬間から大声援が止んだ。
 昨年11月の契約更改時に今季限りでの現役引退を表明。この日の午前9時から都内のホテルで行われた引退記者会見に臨んだ栗山は、その冒頭で午後5時プレーボールの楽天戦をもって現役生活に終止符を打つと表明。栗山の勇姿が打席で見られるのは、3打数無安打で迎えたこの瞬間がまず間違いなく最後になる。
 記憶に焼きつけようとファンが固唾を呑んで見守る。楽天の4番手、左腕の泰勝利が雄叫びとともに投げ込んだ真ん中低目の153kmの直球をバットが完璧にとらえる。二遊間を抜けてセンター前へ転がる通算2152本目のヒットに、2万7579人で埋まったスタンドが敵味方の垣根を越えて大歓声で揺れた。
 有言実行の一撃だった。
 引退記者会見で最も印象に残るヒットを問われた栗山はこう答えている。
「数が多くてこれがベストというのはなかなか選べないのですが、やはり今シーズンはまだ1本しかヒットが出ていないので、あのセンター前と、プロ入りして初めての1本、そして一番は今日打つヒットになると思います」
 9回に代打で登場して今季の初安打を放った4月18日の日本ハム戦(エスコンフィールドHOKKAIDO)よりも。そして、プロ3年目の2004年9月24日の近鉄戦(大阪ドーム)で「9番・レフト」で一軍初出場を初先発で果たし、7回の第3打席で左腕・小池秀郎からライト前へ放ったプロ初安打よりも印象に残るヒットを打つと、会見会場に招待した自身のオフィシャルファンクラブの会員約630人の前で約束した。
 埼玉・所沢市内の球団事務所で契約更改交渉を終えた昨年11月24日に、今季限りでユニフォームを脱ぐ意向を電撃的に表明した。もっとも、このときは「引退」の二文字には言及していない。毅然とした表情と口調で、兵庫・育英高校から2001年のドラフト4位で入団した西武で25年目になる今季を「締めくくりのシーズンとさせていただくことをご報告させていただきます」と明言した。
 なぜ「引退」を口にしなかったのか。この日の会見でその理由も明かした。
「家庭の中で子どもたちとも話をすることがあって『辞めてもいいけど、引退とは言わんといてくれ』と言われたからです。今朝はまだ寝ていましたね。子どもたちは父親が一軍の試合に出るのを楽しみにしていますし、球場中が私の味方だという試合を見られるのはなかなかないので『楽しんでね』というような会話はしました」

 

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