不服は正しいか?「ダウンも取ったし負けた気がしていない。ボクシングで負けた」那須川天心が井上拓真から7回に衝撃ダウンを奪うも0-3判定に疑問…激闘の裏にあった父からの「引退勧告」
プロボクシングのWBC世界バンタム級タイトルマッチが27日、東京お台場のトヨタアリーナ東京で行われ、リベンジを狙った那須川天心(28、帝拳)が7回にダウンを奪いながらも王者の井上拓真(30、大橋)に0-3判定で敗れた。天心は試合後に「ダウンを取ったし負けた気がしない。ボクシングで負けた」と判定へ不服を訴えた。葛西裕一トレーナー(56)も4ラウンドまでの公開採点で1人がドローで2人が井上を支持していたことへ疑問を抱いた。また天心は今後については「わからない」を連発したが「まだまだこんなもんじぇねえ」と現役続行を匂わす発言もあった。

天心がファンをヒートアップさせる見せ場を作った。
7ラウンドだ。キック時代のようにトリッキーに手とクビを動かした直後、拓真がニヤっと笑ったと同時に踏み込んだワンツーが王者の顔面を捉えた。
「いろんなことを想定してやっていた。打ち下ろしたり、下から打つのもやって、あの時の発想で出たパンチ」
葛西トレーナー仕込みのダブルステップ。元WBC世界スーパーバンタム級王者、西岡利晃氏に通じる左ストレートである。
拓真はゴロンと背中からひっくり返った。拓真はギリギリまでカウントを待ち立ち上がってきたが、まだ2分30秒も残っていた。
天心は「しっかりと下から崩していこうと思った。目は死んでいなかった」とロープにつめてボディから攻め立てた。
拓真はクリンチに逃げ、あえてロープを背負いガードを固めた。天心は小さいパンチを見せながらトドメを刺しにいくが、「集中したロープ際では絶対にもらわない」との自信を持っている拓真にクリーンヒットをヒットさせることができなかった。
逆にアゴをグローブで触り「打って来い!」と挑発された。
狙いすました強烈な左に拓真が吹っ飛んだ。王者は右手でロープをつかみかろうじてダウンは免れた。のちにこのシーンは、インスタントリプレイで、ダウンがどうかを確認されてノーダウンと判定された。しかし、天心はフィニッシュまで持っていけなかった。
「詰めきれなかった」
8ラウンドにまだ足がスムーズに動かない状況でありながら拓真が前へ出てきた。ワンツーから左ボデイ、ダブルの右フックの連打。手数の減った天心が、体を揺らして左の上下を放つも、逆に右ストレートを被弾した。
ここで2度目の公開採点。
天心を76―75で1人が支持、残る2人は77―74で拓真を支持していた。陣営は、そのアナウンスがうまく聞き取れず、9ラウンドの途中でスタッフから「2人が3ポイント差」と聞かされたという。
「予想より開いていた。もう9ラウンドは始まっていたし残り3ラウンドをとっても引き分けになる。もう一回ダウンを取りにいけ」
浜田剛史代表は、葛西トレーナーにそう指示を出した。
もうKOしかなくなった状況で一発を狙いにいきパンチが大振りになった。最終ラウンド。天心はガードを下げ、フリッカージャブから、ラウンドを支配して、何度かロープにつめたが、決定的な一打は打ち込めない。そしてゴング。天心は右手を突き上げてコーナーへ下がった。
「ポイントも自分的には優勢、すべてをやったぞという感じが出た」
だが突きつけられた判定結果は残酷なものだった。113―114が1人、111―116が2人で0-3判定負け。リベンジを果たすことができなかった天心は、深くファンへ頭を下げた。
「悔しいっすね。まだわかんない。なにがなんだがわかんない。ここまで毎日、これだけやっても無理か、と非常に思いますよね。表ではつっぱっているところしかなかなか見られていない。誠心誠意向き合って自分を作ってきた。負けという結果が出たので、悔しいし…なんかわかんないですね」
そしてリング下で父弘幸さんの顔を見ると号泣した。
ほぼ無傷の綺麗な顔をしていた。
なぜ負けたのかがわからない。
「ポイントは、回りから見てどうかはわからないが、体感で腹もきいていたし、顔もダメージ的には嫌がっていた。ボクシングで負けたなと。でも全部を出しきった。チャンピオンが強かった」
ボクサーとして限界を感じたのか?と問うとこう反論した。
「限界は感じていない。だってダウンも取ったし自分の中では負けた気がしていない。ボクシングで負けた。ポイントゲームでとられたのかな」

