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ボクシング“アマ13冠“の超ホープの堤駿斗(22、志成)がB級のプロテストを受験し非凡さをアピールした(写真・山口裕朗)
ボクシング“アマ13冠“の超ホープの堤駿斗(22、志成)がB級のプロテストを受験し非凡さをアピールした(写真・山口裕朗)

未来の世界王者候補の超ホープがベール脱ぐ!アマボクシング界の“最高傑作”堤駿斗がプロテストで披露した鮮烈のパンチとは?

「フィニッシュにつなげるシーンは見せていない。そこは試合でしっかり見せたい。対策を練りつつ、そこまで持っていくのが自分のスタイル」  プロテストは14オンスのソフトグローブを使用して行われるため、よほどの実力差がなければ、ダウンシーンは見られないのだが、狙っていたという。

「がちゃがちゃしたフィニッシュじゃなく、カウンターを綺麗に決めて、いい見せ場を作ろうと思っていた」  

 一方で「劣勢の展開をイメ―ジしつつスパーに挑んだ」とも言う。バンタム級の世界2団体統一王者“モンスター”井上尚弥(29、大橋)に似た思考だ。

 現在の体重は66キロ、昨年10月の世界選手権以降、プロテストに備えてのスパーリングは13日のプロ転向会見の後に1回しか消化しておらず、本人曰く、「50、60%の出来」で、ここまで見せるのだから、日本人初の快挙となった世界ユース金メダルや、習志野高時代に全日本選手権を制するなどしてきたアマ13冠の看板はダテではなかった。

 気になったのは、プロの魅力として重要なパンチ力の有無。拳を交えた森武蔵は、「グローブが大きくソフトだったのでよくわからなかった」というが、堤とスパー経験のあるボクサーの間では「パンチが硬い」との評判もある。

 堤のプロでの目標は、もちろん世界王者。それだけでは満足しない。「防衛回数や統一王者」に興味があり「パウンド・フォー・パウンドの上位にくるボクサーを目指す」という。

 世界王者までの最速記録を狙うつもりはないが、2年後の2024年を「世界王者になる年」として目標に置いている。同じく昨年の世界ユースで金メダルを獲得した弟の麗斗(19)が2024年のパリ五輪でのメダルを狙っているため、「弟がパリ五輪に出るまでに世界王者になって、いい刺激を与えてお互いが刺激し合えるような関係でいたい」と、世界王座&五輪メダルの“堤兄弟ドリーム“を果たす野望がある。この日のプロテストは、その野望が決して夢物語ではないことを強く印象づけた。 

 改めて、どんなプロボクサーになりたいか?と聞くと、「お客さんが帰るときに『いい試合だったな。また行こうな』と言われる選手になりたい。アメリカ、世界で評価される選手になりたい」と、迷うことなく答えた。           デビュー戦は7月にも予定されているジムの先輩、4階級制覇王者でWBO世界スーパーフライ級王者、井岡一翔と、同じく元4階級制覇王者のドニー・ニエテス(フィリピン)との指名試合のアンダーカードが有力。JBCに申請して特例として認められれば8回戦のA級デビューを計画している。減量に失敗しないため最初はフェザー級で、対戦相手は外国人ボクサーを招聘する方向だという。

「しっかりと綺麗に決めたいし、パンチを効かしたらガーッといく場面も作りたい。アマでもらっていいパンチをプロではもらえない。そういうリスクを処理しながら、インパクトで倒せるようにしたい。対戦相手が決まったら、対策は、もちろん、パワーアップとスタミナ。最初から長いラウンドを戦えるようにスパーでも長いラウンドをやって挑みたい」

 堤の気持ちは、はやプロデビュー戦へ向かっている。アマボクシング界の“最高傑作”はいったい、どんなデビューを飾るのだろうか。

(文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)

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