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W杯で活躍した谷口彰悟が川崎フロンターレの退団を発表、海外挑戦を決断した(写真:森田直樹/アフロスポーツ)
W杯で活躍した谷口彰悟が川崎フロンターレの退団を発表、海外挑戦を決断した(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

なぜ”W杯戦士”谷口彰悟は31歳にして川崎Fを退団し海外挑戦を決断したのか…カタール強豪クラブへの移籍有力

 ヨーロッパ組とより多くの時間を共有した代表での濃密な日々が、そして世界を目の当たりにしたW杯での激闘が、ベテランの域に達しつつある谷口に新たな目標を抱かせたのか。コメントで「まだまだサッカー選手として、成長できる可能性はあると感じました」と綴った谷口は、32歳になるシーズンで初めて海外に挑む理由を次のように説明した。

「これからもフロンターレで自分自身とチームのレベルアップをしていく選択肢もありましたが、海外の全く違ったサッカー環境に身を置き、サッカー選手として成長したいという想いでチャレンジする決断をさせていただきました。今シーズン、タイトルが一つも取れず、非常に悔しい思いをサポーターのみなさんにさせてしまい、またキャプテンという責任ある立場での決断は非常に申し訳ないと考えています。しかし、残りの自分のサッカー人生の中で、チャレンジをしなかったことの後悔はしたくないと考えました」

 カタール大会の期間中には、開催国カタールの1部にあたるスターズリーグに所属し、歴代2位タイの8度の優勝を誇るアル・ラーヤンへの移籍が報じられた。日本がコスタリカに敗れた第2戦の舞台、アフメド・ビン=アリー・スタジアムを本拠地とする古豪クラブだ。

 W杯イヤーを迎えた谷口は、1月の中国、2月のサウジアラビアとのアジア最終予選で連続フル出場。板倉滉(25、ボルシアMG)とのコンビで、負傷欠場した冨安健洋(24、アーセナル)とキャプテンの吉田麻也(34、シャルケ)の穴を感じさせない存在感を放った。

 国内組だけの編成で臨んだ7月のEAFF E-1サッカー選手権ではキャプテンに指名され、森保一監督(54)にとって初タイトルとなる日本の優勝に貢献。今シーズンを含めてJ1のベストイレブンを4度受賞した川崎での個人タイトルも、評価に値する対象となったのだろう。

 海外へ移籍する上で年齢は大きなウエートを占める。特にヨーロッパのクラブは特別な選手を除いて、年齢を重視する傾向が強い。日本の「10番」を背負ってブラジル、ロシアと2大会連続でW杯に出場したMF香川真司(33、シントトロイデン)は30歳をすぎた2019年の夏に、新天地がなかなか決まらなかった自身の境遇をこんな言葉を介して表現している。

「やはり30歳になると、ヨーロッパでは特にシビアにとらえられる。年齢のことも含めて、いままでに経験したことのない、いろいろな現実を見せられました」

 今大会でいえば、3位に入ったクロアチアの20歳のセンターバック、ヨシュコ・グバルディオル(ライプツィヒ)の争奪戦がヨーロッパのビッグクラブの間ですでに繰り広げられている。イギリス紙の『The Sun』はチェルシーとレアル・マドリード[2] に加えて、マンチェスター・シティが移籍金1億1000万ポンド(約183億円)を用意して争奪戦に加わると報じている。

 年齢の壁は、谷口自身もある意味で覚悟していたはずだ。そのなかで届いたアル・ラーヤンからのオファーが、谷口のなかで頭をもたげていた、サッカー選手である以上は成長を求めてチャレンジしたい、という思いをさらに強めたのは自然な流れといっていい。

 

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