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ボランチ長谷川唯のゲームコントロールが見事だった(写真:AAP/アフロ)
ボランチ長谷川唯のゲームコントロールが見事だった(写真:AAP/アフロ)

なぜ女子W杯8強進出をなでしこは果たせたのか…見事なハーフタイム修正力…次戦がVへの“最大の山場”3連覇狙う米国対スウェーデンの勝者

 サッカーの女子W杯決勝トーナメント1回戦が5日、ニュージーランドのウェリントン・リージョナル・スタジアムで行われ、なでしこジャパンが3-1でノルウェー代表に快勝。2大会ぶり4度目のベスト8進出を決めた。優勝経験を持つ両チームの対決は、1-1で折り返した後半5分にMF清水梨紗(27、ウェストハム)が勝ち越しゴールを決め、36分にはMF宮澤ひなた(23、マイナビ仙台)が大会得点王ランキングのトップに立つ5ゴール目でリードを広げた。11日の準々決勝でFIFAランキング1位で大会3連覇を狙う米国と同3位スウェーデンの勝者と対戦する。見えてきた優勝に向けての最大の山場だ。

 5バックで対策してきたノルウェー

 今大会4試合目にして初めて失点し、同点とされてもなでしこは動じなかった。後半5分に敵陣でのパス回しをきっかけに、同36分にはカウンターから連続ゴールをゲット。1995年の第2回大会を制している北欧の古豪ノルウェーに3-1で快勝した。
 先発した11人の平均身長は、なでしこの164.7cmをノルウェーの170.3cmが大きく上回る。前半20分に喫した同点ゴールも、右サイドから上げられたクロスを、打点の高いヘディングから完璧に決められた。体格差を突きつけられた場面でもあった。
 それでも、なでしこは最後まで主導権を譲らなかった。日本女子代表の初代専任監督を務めたサッカー解説者の鈴木良平氏(74)は、前半15分の先制点が大きかったと指摘する。左サイドから宮澤が放った低空の高速クロスを相手ディフェンダーがはね返そうと試みた。しかし、右足に当たってコースを変えたボールは、そのままゴール左隅へ転がり込んだ。
「記録はオウンゴールだったが、あの1点が入ってからなでしこは大きく変わった。負ければ終わりの決勝トーナメントでは、精神的にも戦い方でもグループリーグと違ってくる。先に失点しないように、という慎重な思いがより強くなったなかで、オウンゴールであれ先制したことでかなり気持ちが楽になった。自分たちのリズムでサッカーができるようになっていた点で、今大会初失点で追いつかれたショックや影響はそれほどなかった」
 最新のFIFAランキングでなでしこの11位に対して12位と、数字上では肉迫しているノルウェーは入念ななでしこ対策を講じてきた。通常の4バックを5バックに変更。最終ラインの前に中盤の選手が4人並び、ゴール前に9人によるブロックを形成した。
 グループリーグ最終節で、なでしこがスペイン相手に取った作戦と同じだった。しかし、最後までブロックをこじ開けられなかったスペインとは対照的に、なでしこはハーフタイムでの修正を経て、後半開始5分に正真正銘のゴールを決めてみせた。
 左サイドのMF遠藤純(23、エンジェル・シティ)がブロックの隙間にポジションを取った宮澤へ横パス。すかさず前を向いた宮澤は、自身の右側を猛然と追い抜いていったボランチ長谷川唯(26、マンチェスター・シティ)へスルーパスを送った。
 しかし、人数をかけた相手の守備の前に、長谷川は突破をあきらめて反転。後方へ落としたボールをノルウェーが収めるも、次のパスがずれた隙を見逃さなかったのが、右ウイングバックを主戦場としながらペナルティーエリアへ侵入していた清水だった。
 狙いを定めて猛然とスプリントし、相手パスをインターセプトした清水が右足を一閃。相手に当たったボールはコースを変えて、ゴール右隅へ吸い込まれていった。

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