「やる前から負ける話をする人がどこにいるんですか?」4戦連続世界戦でWBA王座に挑む比嘉大吾が変わった…”井岡イズム”感化と「12回耐え抜いてのフルスイングKO」覚悟
単独で志成ジムに乗り込んできた帝拳の大和トレーナーは、「絶好調じゃないですか。左の届かない距離にいたり、右も角度を変えている。いろんな角度から打てて、一発、一発決めることができる。すべてのパンチが警戒」としたものの、比嘉は、増田のようなサウスポーが苦手だと見ている。
増田は、まだプロ10戦でキャリアに倍以上の差があるが、こう熱弁した。
「成績(キャリア)は2倍多いが、サウスポーとは5回しか戦っていない。日本人は2人でいずれも負けています。(増田とは)タイプは違うが、確実に言えるのは右より左のほうが苦手」
比嘉は、元IBF世界同級王者の西田凌佑(六島)、武居と2人のサウスポーに負けている。
大和トレーナーは比嘉が強引に前へくることも想定している。
「くると思っている。来ないとウチとして楽な展開。(接近戦の)対応はしている。めちゃくちゃ強い。いいパートナーに来てもらって仕上げた。比嘉の3倍前へくるタイプ。7キロ差があったが打ち合えた」
本田明彦会長は、那須川天心のパートナーとして来日したことがあるWBC世界スーパーバンタム級20位のヘスス・アレチガ(メキシコ)を招聘した。27戦26勝(17KO)1敗の戦績を誇る26歳のホープで、1階級上のガチガチのファイター。その”仮想比嘉”との打撃戦でも負けず「自信を深めた」という。
「いろんなことを考えている。凄く奥までね。そういう時ってがっちりはまる。A、B、Cが通用しない。増田のひとことひとことで対策、作戦を変えていく」
帝拳陣営には、天心が井上拓真に敗れた世界戦からBプランがないとの批判があった。だが、大和トレーナーは、A、Bプランどころか、もっと多くのプランを用意しているという。
「比嘉選手は(ドローが2試合続き)足らないところを埋めてきていると思う。それに対してこっちは打ち返せる。一発で(世界を)獲ります。それが王道です」
大和トレーナーは増田の公開練習の時よりも見出しになるような発言をした。
だが、比嘉陣営も万全のサウスポー対策を準備してきた。ジムの重里侃太朗、OPBF東洋太平洋&日本フライ級王者の野上翔(RK蒲田)、デビュー戦を終えた大橋ジムのホープ、片岡吐夢らとスパーを重ねたが、7月25日にサウジアラビアのビッグイベントに登場する同門の堤麗斗とのガチスパーで自信をつけたという。。
「6ラウンドくらい。緊迫してある意味、増田より強いだろう。そういうスパーができていた」と野木トレーナー。
至近距離では、増田陣営が嫌がるサウスポーのスタンスからパンチが打てる。公開練習でも披露した。野木トレーナーは「マイク・タイソンのフィニッシュも左構えから。それは大吾もできる」と匂わす。
負けたら引退。
これまではずっとそう言っていた。
自らは、それを引退詐欺と評していた。
「今回はドローあるいは負けても引退しませんね?」
そう聞くと、太陽のようなボクサーはニコっと笑った。
「やる前から負ける話をする人がどこにいるんですか?」
比嘉大吾は変わった。

