「殺し合いなら負けない」最軽量級の固定観念をぶち壊す“倒し屋”石井武志が9.2横浜でWBA世界ミニマム級王座へ初挑戦…武居由樹の背中を負う異色の元キックボクサー
もちろん元キックボクサーの強みを最大限に生かす。
「それは生物的な強さです。言葉は悪いですけど、本当に潰し合い、殺し合いみたいな状況になった時に絶対負けないという思いがある。そこをボクシングにつなげたい。スポーツとしてのかっこいいボクシングが一番いいとは思いますが、自分にはそれはできないと分かっているので自分らしい戦いを見せたい」
コンビを組んでいる元3階級制覇王者の八重樫東トレーナーもこう言う。
「メンデス選手はキャリアもあり、世界戦も経験している選手です。そういう意味では、石井は挑戦者らしく前に出て、自分の距離を常にキープしながら、自分でポイントを取っていかなければいけない展開になる。厳しい戦いにはなると思いますが、石井のフィジカルの強さと気持ちの強さがあれば大丈夫」
大橋秀行会長も、自らが巻いたミニマム級のベルトへは思い入れがある。
それだけに「この階級で目立つには、倒さなきゃダメだ」と石井にはずっとハッパをかけてきた。
「ヨネクラジムから生まれた世界王者が5人。今大橋ジムが同じ5人なんだよね。石井が取れば、6人目となり、ヨネクラを超えることになる」
大橋会長が現役時代に所属していたヨネクラジムが生んだ世界王者は、柴田国明氏、ガッツ石松氏、中島成雄氏、川島郭志氏、そして大橋会長の5人。現在大橋ジムも、川嶋重勝氏、八重樫、井上尚弥、拓真、武居の5人だ。大橋会長が目標としてきたヨネクラジム超えを果たす6人目に石井への期待が高まる。
またこのベルトを返上した松本流星(帝拳)が、9月にもWBC同級王座に挑戦する予定で2人の日本人王者が誕生すれば日本人同士の統一戦への気運が高まる。
大橋会長も「日本の軽量級は、世界でも最強国なんで、結局、最強同士の戦いとなると日本人選手同士になるよね。そこが1 番盛り上がるよね」と実現へ向けて前向きだった。
そして石井には世界王者になって伝えたい思いがある。
「中学、高校までは、空手を習い事として週2回やるくらいでした。才能もなくて下手くそだなと言われることしかないようなレベル。でも努力する力だけは持っていた。その努力が結びついて今ここまで来られた。努力で変われるんだということを伝えたい」
9.2横浜BUNTAIでは、石井と、WBA世界ライトフライ級王座決定戦に挑む吉良という2人の新王者の誕生の瞬間を目撃できそうだ。

