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左から八重樫トレーナー、石井、大橋会長(写真・山口裕朗)
左から八重樫トレーナー、石井、大橋会長(写真・山口裕朗)

「殺し合いなら負けない」最軽量級の固定観念をぶち壊す“倒し屋”石井武志が9.2横浜でWBA世界ミニマム級王座へ初挑戦…武居由樹の背中を負う異色の元キックボクサー

 プロボクシングの2人同時世界王者誕生に期待が寄せられる軽量級のW世界戦が9月2日に横浜BUNTAIで開催されることが28日、横浜市内のホテルで発表された。WBA世界ライトフライ級王座決定戦は、同級1位の吉良大弥(23、志成)と元WBC同級王者のカルロス・カニサレス(33、ベネズエラ)、WBA世界ミニマム級王座決定戦は同級2位の石井武志(26、大橋)と元WBO世界同級王者のウィルフレド・メンデス(29、プエルトリコ)の間で争われる。石井は元WBO世界バンタム級王者、武居由樹(29、大橋)の背中を追いかけてキックボクシングから転向した異色のボクサー。最軽量級にしては珍しいハードパンチャーで「心を折ってギブアップさせたい」「殺し合いなら負けない」と豪語した。

 元WBO世界王者の武居由樹からの心に響く言葉

 最軽量47.6キロ、ミニマム級の固定観念を覆すハードパンチャーに世界戦のチャンスが巡ってきた。横浜ベイシェラトンの記者会見に大橋ジムカラーでもある赤いネクタイをして臨んだ石井は「自分は2022年にデビューして4回戦から始まったんですけど、本当にこの日のためだけにやってきました。9月2日、必ず世界チャンピオンになります」と決意表明した。
 福岡県うきは市出身の元キックボクサー。中2から5年間、空手の道場に通い、K-1の魔裟斗、武尊に憧れてキックを始めた。
 プロのリングに上がり4勝3KOの戦績で、大和KICK第2代52.5キロ級王者にもなった。だが、憧れのK-1の最軽量級が、53キロから55キロで、身長156センチの石井に適した階級がなかったため、「このままいっても先がない」と、ミニマム級のあるボクシング転向を決意。東京足立区にある「パワーオブドリーム」ジムへ合宿にいった際に、交流の生まれた武居の紹介で、古川誠一会長を通じて、福岡から上京して大橋ジムへ入門した。それが21歳の時だ。
「最初は日本タイトルが取れればいいかなくらいに思っていた。でもこのために生きてきたと言っても過言ではないくらい、この5年間をボクシングに懸けてきた。ついに来たなという思い」
 いきなり全日本新人王を獲得するも順風満帆にこの舞台にたどり着いたわけではない。2023年9月のプロ8戦目で世界ランカーのリト・ダンテ(フィリピン)に判定負け。しかも左目に眼窩底骨折を負った。目を手術して「もう辞めようかな」とも考えた。
「好きなものを食べて、太るだけ太って、一回ボクシングができない体にしてやろうくらいに思った」
 体重は60キロをオーバーした。
 真剣に話をしたわけではないが何気ない武居の言葉が心に響いた。
「まだまだだよ。これからだよ」
 再起を決意するもいつもトップを走れた走り込み合宿では最下位に沈んだ。
「でも、ジムのみんなに支えられました。ジムへ行けばやる気が出るので、そこから立ち直って、また勝っていこうと気持ちを入れ替えて頑張れた」
 2024年9月にOPBF東洋太平洋同級王座を獲得、2度防衛したが、昨年9月のV2戦を最後に約1年試合が空いた。その間、新しいフィジカルトレーニングに取り組み、さらにパワーアップした手応えがある。
「もともとフィジカルだけで勝ってきたと言われていた。でも、そのフィジカルはミニマム級でも今でも世界で一番強いと思っている。そこは引き続き鍛えてきたし、技術も今は伸びている。その部分を見てもらえたらうれしい」
 対戦相手のメンデスは元WBO世界同級王者だ。
 だが、2021年に谷口将隆に11回TKO負けして王座から陥落。2023年にはWBC世界同級王座決定戦で重岡優大にも7回KO負けを喫した。その後、再起して4戦で2勝2分けと負けはないが、日本人を苦手としているのは追い風だろう。
 石井の攻撃パターンが単調になることだけが懸念材料だが、この階級ではズバ抜けているパワーがメンデスを圧倒しそうだ。石井も「ラウンド数はわからないが、心を折ってギブアップさせたい」とKOを宣言した。

 

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