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出雲駅伝は駒大が完勝。箱根駅伝で骨折したアンカーの鈴木芽吹が復活の区間賞(写真:SportsPressJP/アフロ)
出雲駅伝は駒大が完勝。箱根駅伝で骨折したアンカーの鈴木芽吹が復活の区間賞(写真:SportsPressJP/アフロ)

“鬼門”出雲駅伝の完勝理由を検証…9年ぶり4度目Vの駒大は全日本大学駅伝&箱根駅伝の悲願“3冠”を達成できるのか?

 鈴木は今年の箱根駅伝で左大腿骨を疲労骨折。3月に練習復帰するも、今度は右大腿骨を疲労骨折するなど今季はケガに苦しんでいた。7月から本格的な練習を再開して、当初は全日本に間に合えばという状況だったが、夏合宿で急上昇。出雲駅伝では最長区間のアンカーという大役を託された。
「正直言うと『やれる』と半分強制的に思っていた部分と、やっぱり不安だなという部分がありました。練習を積んでいる期間がそんなになかったので、その点が不安だったんです。ただ前の5人がすごくいい走りをしてくれたので、最後は僕が決めなきゃいけない。緊張以上に覚悟というか、強い気持ちを持って走りました」(鈴木)
 鈴木は10000mで日本人学生歴代3位の27分41秒68を持つ駒大の準エース。10か月ぶりのレースを区間賞で飾り、完全復活を印象づけた。

「(鈴木)芽吹が3㎞ぐらい行ったときに、このまま行けるかなと思いましたね。田澤が体調を崩したので、芽吹の復活は大きかったですし、私もうれしかった。選手たちにとっては、いい勝利だったなと思います」(大八木監督)

 今大会前までに学生三大駅伝で最多24回の優勝を積み重ねていた駒大だが、出雲は〝鬼門〟といえる大会だった。ダントツV候補に挙げられた2014年度は台風の影響で中止。全日本大学駅伝と箱根を制した2020年度はコロナ禍で大会が行われなかった。
 強い西南の風が吹き込んだ今大会は、追い風になった前半区間でスピードに乗り、向かい風の4区と5区では強さを発揮。6人全員が区間2位以内という完璧な内容で、30秒以上も大会記録を塗り替えた。青学大、順大、東京国際大も「駅伝3冠」を狙っていたなかで、駒大が9年ぶり4度目の優勝を飾り、まずは「1冠目」をゲットした。

 次は14度の優勝を数える全日本大学駅伝だ。登録されながら出雲駅伝に出走できなかった選手たちが参加した出雲市陸協記録会5000mでも円健介(4年)と山川拓馬(1年)が日本人ワン・ツーを占めるなど存在感を発揮した。
「今回外れた篠原倖太朗(2年)、昨年の全日本に出場した青柿響(3年)と赤星雄斗(3年)も上がってきています。3連覇を目指す全日本はレギュラー争いが大変だと思いますね」と大八木監督が話すほど、伊勢路制覇への視界は良好だ。全日本では駒大が大本命になるだろう。

 しかし、箱根駅伝の戦いを考えると、まだまだ前回覇者・青学大が有利かなという印象だ。出雲は3区近藤で2位に浮上するも、4区志貴勇斗(3年)が区間6位と伸び悩み、4位に後退。その後は順位を上げることができなかった。それでも5000m13分台ランナーが25人以上という圧倒的な戦力を誇り、出雲には岸本大紀(4年)、中倉啓敦(4年)、佐藤一世(3年)、太田蒼生(2年)、若林宏樹(2年)という箱根Vメンバーが出場していない。選手層の厚さと箱根駅伝への調整力では駒大を上回っている。

 駒大も3冠に向けては箱根が最大の難関だと感じているが、出雲の優勝が大きな自信になっている。
「毎年、3冠を目標に掲げながら、出雲で終わっていました。今年は出雲で勝つことができて、全日本はもちろん駒澤が強い。箱根は距離も大切になってくるんですけど、距離に対応できる選手も増えています。もっと磨き上げて確実なものにしていきたい」と田澤が言えば、鈴木も「3冠に向けては、あと2勝しなきゃいけない。全日本と箱根でも主要区間をしっかり走って、チームの優勝に貢献したいと思っています」と力強かった。

 一方で大八木監督は、「箱根もスピードがないと勝てません。出雲に続いて、全日本もしっかりやって、さらにスピードをつけながら箱根を戦っていきたいなと思っています」と主力選手に世界を意識させながら、箱根に向かっていく構えを崩していない。トラックのスピードでは青学大に勝る駒大。この武器を生かして、悲願の3冠に向かって突っ走る。
(文責・酒井政人/スポーツライター)

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