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国内で待望論のあった17歳の“神童”FWユスファ・ムココがW杯メンバーとして代表に初招集された(写真・ロイター/アフロ)
国内で待望論のあった17歳の“神童”FWユスファ・ムココがW杯メンバーとして代表に初招集された(写真・ロイター/アフロ)

17歳“神童”ムココ抜擢に5年ぶりにゲッツェを復帰させた“最強”ドイツの26人…森保Jは勝てるのか?

 対照的に最終ラインにバイエルン勢はいない。センターバックには191cm85kgのアントニオ・リュディガー(29、レアル・マドリード)や191cm85kgのニコ・シュロッターベック(22、ドルトムント)、195cm89kgのニクラス・ジューレ(27、同)が君臨。ゴールマウスにはノイアーか、もしくはマルクアンドレ・テアシュテーゲン(30、バルセロナ)がそびえ立つ。
 所属チームが同じメリットを連携・連動に反映させる中盤を中心に、キーパー陣は安定感を。そして最終ラインは強さと高さを兼ね備える。さらに最前線では、他国があまり情報を収集していない可能性もあるフュルクルクやムココが、実力だけでなく意外性も発揮してくる。
 ベテランと中堅、そして新星を含めた新顔。チーム内のバランスが取れている上に、優勝経験国にありがちな、W杯後半に調子を上げていくマネジメントを取り入れるがゆえに、グループリーグでスロースタートを切る隙も、今回のドイツにはおそらく見当たらない。
 前述したように、前回ロシア大会でドイツはグループリーグで敗退している。0-1で敗れたメキシコ代表との初戦が大きく響き、スウェーデン代表との第2戦こそ2-1で制したものの、韓国代表との最終戦でも後半アディショナルタイムに2ゴールを奪われて一敗地にまみれた。
 昨夏のユーロ2020でも、ラウンド16でイングランド代表に完敗。15年間続いたヨアヒム・レーヴ体制に終止符が打たれ、ドイツの再建を託されて就任したフリック監督だけに、ロシア大会と同じ轍は踏まないとばかりに、初戦からエンジン全開で臨んでくるはずだ。
 戦い方だけでなくメンタル面でも隙が見えそうにないドイツと、日本はどのように対峙すべきなのか。森保一監督(54)は9月のドイツ遠征で、2-0で快勝したアメリカ代表戦を持って「カタールでの戦い方を、チーム全員で共有できた」とメンバー発表後に語っている。
 1トップの前田大然(25、セルティック)が“鬼プレス”を連発。高い位置から相手のビルドアップを遮断し続け、ボールの奪いどころを定めた上でショートカウンターに活路を見出す。たとえゴールを奪えなくても、前半を0-0で折り返せばドイツにとって嫌な雰囲気が漂い始める。
 もっとも、日本が掲げる堅守速攻の戦い方は、1対1で無類の強さを誇る遠藤航(29、シュツットガルト)がボランチの一角にいてこそ成り立つ。攻守の大黒柱が脳振とうを起こしたいま、遠藤の順調な回復を願いながら、遠藤抜きの戦い方も確立しておかなければいけない。
 一時は意識を失い、救急搬送された遠藤は幸いにも脳の損傷や出血、頭蓋骨の損傷はないと確認された。それでも脳振とうからの復帰には、段階的な復帰プログラムが課される。17日にはUAE(アラブ首長国連邦)のドバイで、カナダ代表とのテストマッチが行われる。ドイツ戦へ向けた最後の調整として組まれた一戦は、別の意味で大きなウエートを占める状況になってきた。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

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