なぜ中谷潤人は「井上尚弥をぶっ倒す」と発言したのか…真意明かすもモンスターの「そう来なくちゃ」反応には「特に何も」とスルー…見えてきた「見返す」戦略…「クロフォードを参考に」
「(クロフォードは)僕も好きな選手なので。階級を上げて(年末のサウジで)ヘルナンデスと戦ってパワーに対してパワーで打ち勝つんじゃなくて、ボクシングの技術で(勝つ)…そこが魅力的なスポーツだという風に思っている。そこをしっかり磨き上げてきた合宿だったし、そこを発揮できたらなと思っている」
年末にサウジアラビアで井上と共演したスーパーバンタム級のテストマッチでは、モンスターのスパーリングパートナーを務めたタフなセバスチャン・ヘルナンデス(メキシコ)の前進と手数に手を焼き、目を大きく腫らして「負けていた」と賛否を呼ぶ判定で勝利した。
階級の壁があからさまになり「中谷なら井上に勝てるのではないか」の声が急速にしぼんだ。だが、中谷はその試合で「パワーにパワーで対抗するボクシング」が自分のスタイルでないことを教訓として得たのだ。つまり、井上より遠い距離、サウスポーの利点を生かしたアウトボクシングに攻略の糸口のひとつがあると覚悟を決めたのだろう。
実は、元IBF世界スーパーバンタム級王者の岩佐亮佑氏が「もし中谷が勝つとすればカネロに勝ったクロフォードスタイルしかない。あれができればひょっとするかも」という話をしていた。
そして中谷は「切り替えの部分が大切になってくる。スマートさをもって戦っていかねばならないイメージを持っている」とも付け加えた。
クロフォードスタイルだけでは「ぶっ倒す」ことはできない。
試合の中での対応が必要でそれは井上がどう出てくるかで変わる。
井上は過去2度ラウンドの序盤にダウンを喫している。2024年5月の東京ドームでのルイス・ネリ(メキシコ)戦と、昨年5月のラモン・カルデナス(米国)戦だ。ネリはサウスポーでカルデナスはオーソドックスだが、2人とも倒したのは左フックのカウンターだった。もちろん中谷もそこに「ぶっ倒す」のイメージを重ねていることは間違いない。
あえてロープを背負って井上に打たせて、そこに左フックのカウンターを狙うカルデナスの戦法を採用することもあるだろう。ヘルナンデス戦で、スーパーバンタム級での耐久性については経験している。
だが、そのカウンターが当たるか当たらないかは井上の出方次第。つまり強引に倒しにくればそこにチャンスが生まれるが、昨年9月にWBA世界同級暫定王者のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)をパーフェクトに封じた「勝ちに徹した」ボクシングをされると、中谷が「ぶっ倒す」チャンスはないと言っていい。
その思惑を知りたくて、どちらの井上のスタイルと勝負したいか?と質問した。
「特にない」
そう答え、こう続けた。

