記者会見で鳴らされた心理戦ゴング…40年前に1回KO浜田剛史氏の「世界戦に重ねたい」比嘉陣営は本当に最初から猛攻を仕掛けるのか…対する増田は「カウンターに気をつけて」と警告
増田がスタッフTシャツに記している言葉が「紫電一閃(しでんいっせん)」という四文字熟語。
「研ぎ澄まされた刀が振り下ろされた時に、一瞬だけ光るひらめきのようなものを表した言葉です。自分のボクシングスタイルを、パンチ力があって、その一発で試合がひっくり返るようなイメージを言葉で表しています」
父親から贈られた言葉だという。
切羽詰まった火急の事態、危機一髪にも似た使い方がされる四文字熟語だが、増田は、自分の左ストレートにその言葉を置き換えた。
「スタイルとして目指しているというところではなくて、やっぱり窮地に追い込まれるような状況になった際に光ってくるものというか、それはスタイルというより自分自身の強さであると思っています」
つまり試される覚悟だ。
言葉こそ違えど、2人のこの試合にかける熱い思いが伝わってくる。
比嘉が勝てば2018年4月に自身の体重超過でWBC世界フライ級王座を剝奪されて以来、8年3か月ぶりの王座返り咲きで、日本人最長ブランクでの復活劇となる。
「久しぶりのベルト。1回目に獲ったことも忘れているぐらいなんで獲ったらどうなるかなという楽しみと、獲りたいなという気持ちはあります」
ただ今は頭の中にその勝利イメージはない。
「8割は明日の計量のこと」
記者会見の際にわざわざJBCの計量器に載った。1.2キロオーバー。半身浴と、一晩の睡眠の代謝で落ちるレベルにある。
一方の増田は前戦で元5階級制覇王者の“レジェンド”ノニト・ドネア(フィリピン)をギブアップさせてのプロ12戦目の世界初挑戦。
「世界初挑戦ですので、この一発で獲りたいという思いが強いです。それと、このベルトにふさわしいようなボクシングを当日はしたいと思っています」
そう言い聞かせた。
増田の方はすでに当日のイメージが膨らんでいる。
「明後日、両国国技館のリングでこの目の前のベルトを掲げている自分をイメージしています。そのベルトがとても似合っていると思いますし、浜田さんの試合のように座布団が舞うことはないと思いますが、素晴らしい試合をしたい」
浜田代表の40年前の試合が契機となり、現在はボクシングやプロレスの興行では、升席の座布団が仕舞われていて、増田が勝っても座布団が舞うシーンは再現できないが、代わりに熱い祝福の拍手を浴びることができる。
写真撮影で比嘉から握手を求めると増田は恐縮して深々と頭を下げた。

