「ここまでやられた覚えはない…悲しいし恥ずかしい」クレベル・コイケをボコボコにした秋元強真は1週間前に左拳を脱臼していた…榊原CEOは大晦日のタイトル挑戦に「無理する必要はない」
総合格闘技の「RIZIN.54」が11日、東京お台場のトヨタアリーナ東京で行われ、メインでは、秋元強真(20、JTT)が前RIZINフェザー級王者のクレベル・コイケ(36、ブラジル/ボンサイ柔術)を3-0判定で下してタイトル挑戦権を得た。秋元は大会1週間前に左拳を脱臼、1ラウンドにそこを痛めたがクレベルの顔面がボコボコになるほど打撃戦で圧倒。ほぼテイクダウンは許さなかった。ただ骨折の可能性があるため、9月10日の「超RIZIN.5」(京セラドーム大阪)での王者ラジャブアリ・シェイドゥラエフ(25、キルギス)とAJ・マッキー(31、米国)の勝者へ大晦日で挑戦するプランに本人は慎重で、榊原信行CEO(62)も「安易に進まない方がいい」とタイトル挑戦の年越しを示唆した。

「こんなに打たれ強いの?」
ここまでボコボコに殴られたクレベルを見たことがない。
試合後のインタビュールーム。
両者の顔が勝敗を明確に表していた。クレベルは左目の上をカットし、大きく腫れ、右目下にはアオタン、右のおでこは、たん瘤状になっていた。
一方の秋元は、傷ひとつない綺麗な顔。ただし、1ラウンド途中に「折れたかも」と痛めた左手は包帯で固定されていた。
「ボロボロにやられちゃってすみません。寂しい。悲しい。恥ずかしい。ここまでやられた覚えはない」
クレベルは日本語でそう漏らした。
「パンチスピードも速い。中に入って組みたかったが、うまくバックステップされた。距離を取るのがめちゃくちゃ上手かった」
何もさせてもらえなかった。
何度もタックルを仕掛けたがことごとく不発に終わった。
得意の寝技の展開に持ち込めず、逆にリードパンチを何発も浴び、強引に突っ込むと左のカウンターのフックでロープへ吹き飛ばされた。
「カーフで足にダメージを与え、どこかのタイミングで寝技、タックルに入りたい」と狙ったが、打撃戦で秋元のスピードとステップワークに翻弄された。
つかまえようとしても秋元がそこにいないのだ。
動きにキレがなく、寝技に引き込むパワー不足にも見えたが「特に(コンディションなどに)悪い所はなかった。今日は秋元の日。秋元が上手かっただけ。こちらはミスをした」と言い訳をしなかった。
「どれだけ打たれても相手がきても前へ進む、やりきった。前へ出るしかない」
それがせめてもの前フェザー級王者の意地だった。
キレがないように見えたが「
実は、秋元は1ラウンドで左拳を負傷していた。おそらく左のクロスカウンターでクレベルをぐらつかせた一撃だろう。2024年5月の『格闘代理戦争 THEMAX』でのアラン“ヒロ”ヤマニハ戦で中指骨を骨折した古傷で、しかも1週間前の最後のスパーリングで脱臼してしまっていたという。
それでも右フックをガードの外から打ち込みダメージを与え続けた。
第3ラウンドには、初めてグラウンドで腕をつかまれ、クレベルワールドに引き込まれかけたが、その危険な領域からもエスケープした。クレベルがロープに押し込んで組んできても、腕を上から絡めて、脇を差されないようにディフェンスを徹底した。これは2024年の大晦日に元谷友貴にRIZINのキャリアで唯一の黒星を喫した時の反省から取り組んだ成果。
師匠の朝倉未来でさえ、再戦でスプリットの僅差判定でしか勝てなかったクレベルをジャッジの2人がフルマークをつける3-0判定で圧倒したのだ。
クレベルのこれまでの試合映像を見返して綿密な準備をした。
「クレベル選手が蹴って相手が下がり慌てて手を出して(中に)入られてたんですよ。だから、僕はそこで絶対手を出さないぞと。パンチをもらってもいいからどっちかに回ろうと。僕の見る目は間違っていなかった」
それがクレベルが言う「距離の上手さ」だった。
朝倉未来からは「バックを取らせたい方がいい」と助言をもらった。
秋元は「取らせても大丈夫」の自信はあったが、小手を巻く動きを徹底して隙を与えなかった。
誤算があったとすれば歴戦のボンサイ柔術の使い手のタフさだ。
「1ラウンドに(左ストレートを)効かせたじゃないですか。それで失神させる予定だったんですよ、そこで倒れなかったので、こんな打たれ強いの? と。だんだん(手が)痛くなってくるぐらい打たれ強かった。喧嘩ファイトで怖い。どれだけ目が腫れても、目の奥に殺気を感じるぐらいのプレッシャーがあった。これがみんなの言うやりづらさなのかと」


