「北朝鮮の選手は金正恩総書記と会うのが困難になった」なでしこジャパンが1m80のPK戦用”秘密兵器GK”をものともせず5本連続成功で大会V3…「混乱に陥っていた」韓国メディア指摘も
対する日本はグループステージ初戦から5試合連続で計7ゴールを奪ってきたFW神谷千菜(広島)が右肩を痛めて後半30分に交代するも、同41分に途中出場のFW西尾葉音(RB大宮アルディージャWOMEN)が起死回生の同点ゴール。防戦一方となった延長戦も耐えて、大会史上最多の4度目の優勝を勝ち取った。
日本が主力組ではないメンバーで今大会に臨んでいた点も踏まえて、3位決定戦で韓国女子代表に敗れ、3度目のメダルなしに終わった中国のメディア『捜狐体育』は、自国に並ぶ大会3連覇を達成した日本を次のように称えている。
「日本は特徴的なボールポゼッション、素早いトランジションスタイルで北朝鮮に対抗し続け、スリリングなPK戦の末に女王の座を死守した。この結果はアジア女子の主要大会における日本の安定性と選手層の厚さをさらに確固たるものにした」
しかし、北朝鮮にとっては単なる準優勝では終わらない可能性が高い。
北朝鮮の金正恩総書記は、権力を掌握した直後の2013年5月に「サッカー強国構想」を掲げて英才教育機関の平壌国際サッカー学校を開校。国外から招かれた指導者の下で、7歳から17歳までの少年少女が訓練を受けて国際舞台に立ってきた。
特に女子の躍進は目覚ましく、U-17女子W杯で4度、U-20女子W杯では3度優勝。クラブチーム単位でも平壌を拠点とするネゴヒャン女子蹴球団が今年5月に、AFC女子チャンピオンズリーグを制覇。韓国・水原で行われた決勝の相手は、日本の日テレ・東京ヴェルディベレーザだった。
ネゴヒャン女子蹴球団の快挙を受けて、金総書記は6月に平壌市内で祝賀行事を開催。その中で「誇り高き祖国の娘たち」と称賛された選手たちが涙を流して喜ぶ映像を、米国の放送局『CNN』が独自に入手及び公開して話題を呼んだ。
同局は選手たちが執念をむき出しにする理由をこう伝えている。
「若い女性選手たちにとって、スポーツは将来にかけて家族を助けるための大きな選択肢となる。それがプレーに出る。あの必死さは簡単に真似できるものではない」
こうした状況を踏まえれば、PK戦とはいえアジア競技大会決勝で日本に屈し、金メダル奪還を果たせなかった北朝鮮の選手たちが表彰式で見せた姿の意味がわかる。韓国メディアの『Xportsnews』も次のように伝えている。
「高いテクニックと人気を誇る北朝鮮女子代表チームは、同国スポーツが誇る競技のひとつとして長く位置づけられてきた。その中で迎えた愛知・名古屋アジア競技大会で、勝利の女神は日本に微笑んだ。ネゴヒャン女子蹴球団とは異なり、準優勝に終わった彼女達は総書記と会うのが困難になった」
来年6月から7月にかけて南米ブラジルで開催される女子W杯へ向けて、主力組に割り込む目標も掲げて頂点に立った日本。権力者が平然とスポーツに介入する状況下で準優勝にうなだれた北朝鮮。両国の女子代表チームが置かれた対照的な状況が、試合終了直後に見せた笑顔と涙に、そして表彰式での表情に反映されていた。

