判定に物議?!「どこが負けなのか。もて遊ばれた」WBA世界戦で増田陸に1-2判定負けの比嘉大吾の野木トレーナーが判定に不服…帝拳陣営は「そんないいパンチはもらっていない」と反論
プロボクシングのWBA世界バンタム級王座決定戦が20日、両国国技館で行われ、同級1位の増田陸(28、帝拳)が元WBC世界フライ級王者で同級2位の比嘉大吾(30、志成)を2-1の判定で下した。世界初挑戦で王座を獲得したものの比嘉の対策の前に“神の左”が不発。手数や攻勢点で優勢だったと見ていた比嘉陣営の野木丈司トレーナー(66)は「どこが負けなのか。(ジャッジ)にもて遊ばれた。負けを認めたくない」と判定に不服を訴えた。また増田はWBAの休養王者である堤聖也(30、角海老宝石)との対戦を熱望した。
那須川天心の見解は?
11ラウンドの開始前だ。
大和心トレーナーが増田への“心の問い”を実行した。
「チャンピオンになりたいんだろう?いこうよ。いけるんだろ?」
増田が力強く「いけます」と返す。
「くっついたら押し返してでも前へいく。気持ちの部分で勝たないと」
増田は自分にそう言い聞かせた。
前に出る。ジャブからワンツー。固い比嘉のガードの上から躊躇なくパンチを放ち続け、その覚悟の通り、押し倒すことまでやった。左のボディカウンターに続き元WBC世界バンタム級王者の山中慎介氏から継承した“神の左”で比嘉をロープにまでぶっ飛ばす。
だが、致命傷は与えられない。
そして最終ラウンド。
一方の比嘉陣営の野木トレーナーの指示はシンプルだった。
「勝負してこい」
沖縄の宮古工業高を卒業して、当時の白井・具志堅ジムに入門した頃からコンビを組む野木トレーナーは、僅差判定負け、連続ドローと続いた過去3戦の世界戦では「弱かった大吾の目の力」が強くなっていることを感じていた。
右目上のカットした傷の流血もストップ。闘志がアドレナリンを生み、血を止めていたという。
増田は続けて足を止めて連打を浴びせてくるが、比嘉もカウンターとボデイで応戦。ジャッジの難しい最終ラウンドを終えて勝負は判定へともつれこんだ。
米国から飛んできたリングアナのジミー・レノン・ジュニア氏は「スプリットデシジョン(2-1)」であることを告げ、「115-113で比嘉」、「117-111で増田」と順に読み上げた。ざわつく両国国技館。
そして最後の一人は「117-111」で「リク(陸)…」と発音した瞬間、増田は表情を緩め、両手で控えめにガッツポーズを作った。
「とても重たいベルト。素直に嬉しい」
そして僅差の判定については、「実際、割れましたけど、見栄えが悪いところもあって(判定を待つ前は)不安な気持ちが正直あった」と本音を明かした。
一方の比嘉は「そんなに甘くない」と言い、悔しさを隠さなかった。
「ビッグパンチをもらうことなく攻めていったんで安心はなかったが、判定を聞くまでわからないと思っていた。前回の3試合よりも、復帰を決めた以上真剣に取り組んできたつもりだった。真剣にやったから負けたら悔しい。またドローなるくらいだったら、そっちのほうがよかった」
だが、野木トレーナーは、判定への不服を訴えた。
「どこが負けなのかな。過去のジャッジはすべて受け入れて文句を言ったのは1回だけ。大吾も人生をかけているんで。(ジャッジに)もて遊ばれている感じがする。まだ映像を見直していないが、今の時点で負けを認めたくない」
増田を支持した中村勝彦、池原信遂の日本人ジャッジ2人がつけた判定に抗議した。
2人が1ポイント差の僅差判定負けだったWBO王者の武居由樹戦、WBA王者の堤戦、そして同王者アントニオ・バルガス戦の連続ドロー。いずれも比嘉陣営からすれば、不満の残る判定結果だったが、野木トレーナーは素直に結果を受け入れていた。だが、今回の判定結果は許容範囲を超えていたのだろう。
比嘉陣営の対増田戦略は、それほどはまっていた。
「1ラウンドから距離を見ながら、左ストレートを受けにいって、当てようと思っていた。倒される覚悟で前へ出た」
ガッチリとガードを固めて被弾覚悟で懐へ飛び込みパンチを振り回した。公式会見で挑発した1ラウンド勝負はかけなかったが「リスクを負って倒しにいく」の言葉に嘘はなかった。 “肉を切らせて骨を断つ”決死の戦法だった。
“神の左”をあえてガードの上から受けて距離やタイミングを察知しようとした。しかも、サウスポーに対してノーモーションの右ストレートをジャブ替わりに使った。野木トレーナーは増田の前戦のノニト・ドネア戦で「当たっていたのがそのパンチだった」という。

