「ボクシングの幅も拓真の方が全然(天心より)勝っている」井上尚弥がドネア戦で得た“再戦秘訣”を那須川天心を迎え討つ弟に伝授
尚弥は2019年11月にWBSSの決勝として行われた当時、WBA世界バンタム級王者、ドネアとの統一戦では、2ラウンドに左フックを浴びて右目眼窩底骨折を負う大ピンチを乗り越えての判定勝ちで、再戦は、3年後の2022年6月に行われ、今度は、ドネアに何もさせずに2ラウンドにTKOで沈めた。ボクシングの幅を見せるまでもなくプレッシャーをかけて強引に倒した戦いだったが、尚弥は、そこに至るまでのプロセスの重要性を説いたのだ。
公開会見で拓真は、兄に再戦の心得を「今後、聞いてみたい」と話していたが、公開の場で、そのエッセンスの一部を伝授され、こう受け止めた。
「自分としては、一度戦っているので、それを参考に、そこから新たな引き出しを作ってトータルで返り討ちするだけ」
子供達からの質問コーナーでは、「感謝したい人は誰?」と聞かれ、拓真は両親と共に兄の存在をあげた。
「兄がいなければボクシングもやっていない。」
その兄の助言は心に響く。
前戦との間隔は、尚弥がドネアと戦った時に比べて、そう空いていないため、イメージは作りやすい。前戦では、1、2ラウンドは天心の距離を取り、足を使ったカウンターボクシングに翻弄されるも、3ラウンドから、ガラっとスタイルを変え、プレスを強めてペースを奪い取った。天心は、戸惑い後手を踏み中途半端な打撃戦となり、拓真にかなわなかったが、前戦のファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)戦では、天心もまたスタイルを変えてきた。
拓真には「もちろん相手は前とは同じ戦い方はしてこない」との心構えがあるが、天心のスタイル変更のさらに上をいく覚悟がある。
その子供達からの質問コーナーでは「将来の目標」も聞かれた。
「まだ1本のベルトしか持っていない。4つの世界ベルトを、兄みたく4つ集めたいのが今の目標です」
改めて4団体統一を口にした。
WBA世界バンタム級のレギュラー王者には、比嘉大吾(志成)との王座決定戦を僅差判定で制した増田陸(帝拳)がいるが、その上のスーパー王者には3階級制覇のジェシー“バム”ロドリゲス(フィリピン)が君臨する。
来年2月に兄の尚弥とのスーパーマッチが計画されており、この日、尚弥は「2月ごろにできるならやります。ただ僕はバムにこだわっているわけじゃない。もう少し(バムが)バンタムでやりたいなら、フェザー挑戦を考えている」と、そのバム戦の実現は条件付きであることを明らかにした。

