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藤原季節は逃げずに殴りあった(写真・山口裕朗)
藤原季節は逃げずに殴りあった(写真・山口裕朗)

「恐怖の世界でした」人気俳優の藤原季節のプロデビュー戦は壮絶1回TKO負け…試合前に読み返したファンの手紙…実力不足も称賛されるべき「逃げずに挑戦した勇気」

 プロボクシングの「Danganオール4回戦」が1日、後楽園で行われ、NHKの朝の連続ドラマ「風、薫る」などに出演している人気俳優の藤原季節(33、石神井スポーツ)がスーパーバンタム級の4回戦でデビュー戦に臨み、同じくデビュー戦の松村航(26、FUNABASHI E-BOX)に1ラウンド2分6秒TKO負けを喫した。俳優仲間の綾野剛(44)らが応援にかけつける中で、接近戦でも打ち合う勇気あるファイトは見せたが、無念の結末に終わり「本当に厳しい世界。甘くない。気持ちの違いが勝負の分かれ目だった」とさわやかに悔しさを噛みしめた。今後については「少し時間をかけて考えます」と言葉を濁した。

 

藤原季節が壮絶TKO負け(写真・山口裕朗)

 いつもの“聖地”後楽園とは空気が違っていた。
 発表された観客数は1769人でチケットは完売。オール4回戦は各選手の応援団が駆けつけて熱気に包まれるのだが、藤原が、出演しているU-NEXT配信の実写化ドラマ『ちるらん 新撰組鎮魂歌』の「誠」と入った新撰組の旗を持って入場すると、女性の黄色い声がホールを包み、スマホのフラッシュがそこら中で光った。
エプロンサイドに上がった藤原は「よっしゃー!」と大声を出して声援にこたえた。
 藤原はサウスポーの松村に対してステップを踏み小刻みにフェイントをかけながらチャンスをうかがった。
「右のカウンター狙いだった。相手も同じ。互いにカウンター狙いだったと思う」
勇気をもってプレスをかけ右のストレートを打ち込むも当たらない。
セコンドからは「じらす動き」との指示が飛ぶも、中間距離の攻防では、逆に左ストレートを被弾した。
 頭をつけてのインファイトの殴り合いにも引かなかった。左右にボディを叩きこまれる。藤原も懸命に打ち返して逆にロープを背負わせるシーンも作った。だが、コーナーにつめられて左フックを浴び、左右フックから左右のボディの猛攻に、されされてたまらずクリンチに逃げる。ブレイクがかかっての再開直後だった。打ち合いの中で左のストレートを浴びてダウン。キャンバスに大の字になった。
「ボディが結構利いていた。ガード固めても、ボディを打たれて、もらいすぎているなと感じがした。苦しさが蓄積して、ガードが下がって、ストレートをもらったのかなと」
 レフェリーは藤原の頭を抱えるようにしゃがみこみ即座に試合をストップした。リングに担架が運び込まれると、場内は小さな悲鳴があがり、水を打ったかのように静まり返った。藤原はニュートラルコーナーのイスに座らされてダメージを回復。自分の足で立って退場の際には自らが330枚以上チケットをさばいたファンに両手をつきあげて答えた。
 後楽園の展示場の特別にパーテーションに仕切られたスペースにしっかりとした足取りで戻ると、藤原はパイプ椅子に座り、「ほんとに厳しい世界です」と、ポツリとつぶやいた。
「綺麗に倒れすぎてよく覚えていない。ボディもジワジワと利いていた。倒された瞬間、気がついたら天井が見えていた。痛みも何もない。立ち上がれば、もう一度戦わせてもらえると思ったんですが、審判の方がもう終わりだと。1ラウンドで終わってしまってショックでしたね。もうちょっとやりたかった」
 とても立ち上がり試合を再開する状況にはなかったが、藤原の心の中にあるファイティングスプリットは折れてはいなかったのだろう。
 それでも勝者の松村を称えて完敗を認めた。
「人前に立つことを普段からやっている。気負いはなかったが、ゴングが鳴って松村選手の覚悟をダイレクトに感じたときに緊張感がこみあげてきた。僕も気持ちは強かったんですが、相手の気持ちの強さが凄く伝わった。その気持ちの違いが勝負の分かれ目だったのかもしれない」

 

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