「恐怖の世界でした」人気俳優の藤原季節のプロデビュー戦は壮絶1回TKO負け…試合前に読み返したファンの手紙…実力不足も称賛されるべき「逃げずに挑戦した勇気」
練習とはまったく違う恐怖感もあった。
「恐怖の世界でした。四角いリングに囲まれて一切逃げ場がない。観客に囲まれて練習と違う風景」
それがプロのリングだった。
「冷やかしのつもりじゃない。本気で勝つつもりで練習してきた。俳優としてじゃなく、一人のボクサーとして凄く悔しい」
藤原はとても爽やかに悔しさを噛みしめた。
2年前から指導している元WBA、WBC世界スーパーウェルター級王者、輪島功一氏の娘婿でもある磯谷和広トレーナーは、藤原の戦いをこう評した。
「リングで練習してことを出すのはほとんど無理。しかもデビュー戦で逃げずに戦った。感動した。誰もが逃げたくなるリング。引かずに戦って負けたが、相手に覚悟は負けていない。ちょっとの差です」
デビュー戦の相手がいきなりサウスポーというのも過酷な条件だった。
プロモーターが選んだ相手だったそうで、磯谷トレーナーは「ちょっとびっくりした。かわいそうだとも思ったが、決まった以上やるしかなかった。彼は挑戦、常に挑戦なんで逃げずに戦った」と明かした。
正直に書けば、プロデビューしていいかどうかのギリギリのスキルのレベルだったと思う。実力不足。だが、磯谷トレーナーと同じ感想を持った。
その藤原の勇気は称えられるべきだった。
Netflixシリーズ「阿修羅のごとく」でボクサー役のオファーをもらい、役作りのため、すぐに輪島スポーツの門を叩き、そこから9か月間、ジムに通い、2024年9月にプロテストに合格した。
過去には、片岡鶴太郎、山川豊、森脇健児、山田隆夫、最近では横浜流星、WEST.の重岡大毅らプロライセンスを取得した芸能人はいるが実際デビューしたボクサーはそう多くない。キマグレンのボーカルだったKUREI(クレイ勇輝)や、現在はJBCの職員としても活動しているお笑いトリオ「ロバートの山本博ら数人だ。
なぜ藤原はデビューに踏み切ったのか。
「たった1回の人生なんで一度しかできない経験をしたかった。年齢的にもリミットがちかづいているなという気がしていた。演技でないリングで戦って見たかったという好奇心と、阿修羅のごとくの撮影のときにエキストラのファンの方から長いお手紙をいただいたことがあって…」
藤原は心を突き動かされたエピソードを明かした。
「阿修羅のごとく」のボクシングシーンは後楽園を2日借り切り行われた。観客はエキストラ。その一人からもらった手紙には「偶然参加して藤原さんを見て闘病に立ち無向かう勇気をもらいました」と書いてあった。
藤原は、プロデビューのこの日、その手紙を読み返したという。

