• HOME
  • 記事
  • 格闘技
  • 「毎日足を折られ失神する夢を見た。生きて帰れて良かった」武尊が引退マッチの壮絶舞台裏明かす…ロッタンから4度ダウンを奪い5回TKO…リングで異例の肉声メッセージを届けた理由とは?
武尊は引退マッチでロッタンを5回TKOで倒してリベンジを果たし号泣した(写真・ONE SAMURAI 1 フライ級キックボクシング暫定世界王者決定戦 ロッタン VS 武尊)
武尊は引退マッチでロッタンを5回TKOで倒してリベンジを果たし号泣した(写真・ONE SAMURAI 1 フライ級キックボクシング暫定世界王者決定戦 ロッタン VS 武尊)

「毎日足を折られ失神する夢を見た。生きて帰れて良かった」武尊が引退マッチの壮絶舞台裏明かす…ロッタンから4度ダウンを奪い5回TKO…リングで異例の肉声メッセージを届けた理由とは?

 そしてもう一つは、マイクでも語った武尊が去った後の格闘技界を支えて欲しいという心からの呼びかけだった。
「僕が引退することで、昔、魔裟斗さんが辞めた後にK―1が無くなったみたいに、ONEみたいな大きな舞台が日本から無くなるのは悲しいこと。次に格闘技界を引っ張るファイターが出てくるまで、ファンの皆さん、僕と一緒に格闘技を盛り上げましょう。K-1も、RISEも、ノックアウトも、いろんな団体が一緒になって盛り上げましょう」
 武尊は、格闘技に憧れる子供達が将来活躍できる舞台を残すために尽力すること、そしてマイクでは「東京ドームでやりましょう」との夢まで口にしている。武尊が那須川天心と東京ドームで「THE MATCH」を戦ったのは4年前だ。
 今大会はONEの日本のCEOに就任している電通出身の田中俊太郎氏がその人脈をフル稼働させて、ディレー放送ではあったが7年ぶりに地上波を復活させてフジ系列で放送された。
 もちろん武尊の引退試合があったからそこの地上波復活だったが、コアなファン以外の目に留まるこの機会を一過性で終わらせたくないの思いは誰よりも強い。
 異例の肉声でのメッセージを伝えた武尊は、リング上にベルトと黒いグローブを置き、それを引退の儀式とした。
 試合後の会見で筆者は武尊にこう質問を投げかけた。
「本当にやりきったのか。ラストマッチで最高の試合をして現役続行の気持ちは出てこなかったのか」
 武尊は勝負師の顔はせず表情を緩めた。
「やれるならやりたい。今日のリングに立てるかどうかわかんないくらい、体が持つのか、不安の方が大きくて…もう今日で使いきったかな」
 歴戦を戦い抜いた武尊のボロボロの肉体がそれを許してくれなかった。
 日本の大会に特化した「ONE SAMURAI」シリーズを立ちあげ、第2回大会を8月8日にEBARA WAVE ARENAおおた(大田区総合体育館)で開催することを発表したチャトリCEOにすれば、武尊というキラーコンテンツは手放したくないに違いない。
 だが、海外メディアからその質問を受けたチャトリCEOは「パーフェクトなファイト。全キャリアの中で最も強い武尊に仕上がっていた」と評価し、特別ボーナス1500万円の授与を発表したが、現役続行を求める考えは表明しなかった。
「今日の武尊を日本だけではく世界が覚えておいて欲しい。最高の終わり方だった」
 会見で武尊にもう一つベタな質問した。
――あなたにとって格闘技とは?
「格闘技と出会っていないとろくでもない人生だったと思う。最高の人生にしてくれたのは34歳ですが格闘技のおかげ。格闘技に感謝しかない」
 栄光と挫折を味わった武尊の最後の言葉は、彼の生き様そのものではなかったか。花道を去るカリスマにファンは泣きながら「ありがとう」と声を重ねた。

関連記事一覧