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元鹿島アントラーズの“レジェンド”アルシンド氏はブラジルの勝利を予想。隣は鹿島、甲府でプレーした息子のイゴール(資料写真:松岡健三郎/アフロ)
元鹿島アントラーズの“レジェンド”アルシンド氏はブラジルの勝利を予想。隣は鹿島、甲府でプレーした息子のイゴール(資料写真:松岡健三郎/アフロ)

あの元鹿島の“レジェンド”アルシンド氏は「日本は危険なチームだが、ブラジルが負ける可能性は考えられない」と母国の勝利を予想…ESPNブラジルの取材に明かす

 日本対ブラジルの決勝トーナメント初戦(日本時間30日、午前2時)を前にJリーグ創成期に鹿島アントラーズやヴェルディ川崎などで活躍したアルシンド・サルトーリ氏(58)が、母国ブラジルと第二の故郷日本との対戦を予想した。ESPNブラジルのインタビューに応じたもので、日本を「成長した。危険なチーム」と評価しながらも「ブラジルが負ける可能性は考えられない」とブラジルの勝利を予想した。

「ブラジルの黄色いユニホームには重みがある」

 Jリーグが始まった1993年、1994年の鹿島アントラーズの創成期に71試合で50ゴールを記録して一世を風靡し、育毛、増毛メーカーのCMに出演して「アルシンドになっちゃうよ」の流行語まで生み出したアルシンド氏が、母国と第二の故郷の対戦を予想した。
「正直に言うよ。ブラジルが日本に負ける可能性は考えられない。確かに日本は成長した。でもブラジルはしっかりサッカーをしなければならない。あの黄色いユニフォームには重みがあるんだ。僕たちには星が5つある。1つじゃない。ブラジルが本命なんだからその(負ける)可能性はないよ」
 ESPNブラジルのインタビューに応じたアルシンド氏はブラジルの勝利を断言した。
 アルシンド氏はフラメンゴで共にプレーした“神様”ジーコに直接電話で誘いを受けて1993年に鹿島に入団した。
 日本のサッカーの本当の成長過程を知る人物で、「当時の日本サッカーはアマチュアだった。ジーコは最初僕を中盤で使おうとした。でもプレシーズンが始まり、親善試合を重ねてもフォワードが点を取れなかった。そこで彼が僕のところへ来て『ブラジルでやっていたように前でプレーしてくれ』と言ったんだ。それから彼は僕にセンターフォワードのトレーニングを始めた。もちろん監督は、いたけれど、実際にはほとんどジーコが練習を指導していたんだ」と振り返った。
 アルシンド氏は、鹿島からヴェルディ川崎、コンサドーレ札幌と渡り歩き、その後、ブラジルに帰って名門チームのコリンチャンスでプレー、再度ヴェルディ川崎に復帰はしているものの、またブラジルへ戻り、現役最後の2000年はジーコが設立した CFZ・ド・リオでプレーした。母国と第二の母国との対戦に中立の立場ではいられないという。
 アルシンド氏は、アンダー世代でブラジル代表に選ばれているだけだが、日本に敬意を示しつつブラジル側から、この試合を語った。
「もちろんブラジルに警戒は必要だ。例えばスペインはカーボベルデと引き分け、エクアドルはドイツに勝った。だから細心の注意を払わなければならない。でもブラジルは相手を選ぶ立場じゃない。ピッチに立って自分たちのサッカーをすればいいんだ。日本は危険なチームだ。でもブラジルはブラジルだ。勝たなければならない。自分たちの仕事を果たすだけだよ」
 今大会ではグループステージで初出場でFIFAランキング67位のカーボベルデがスペイン、ウルグアイのW杯優勝国に引き分ける大番狂わせを起こした。またエクアドルも格上のドイツに勝つなどの“下克上”が起きていて、ブラジルに警告を発令することを忘れていなかった。
 ブラジルは2002年の日韓W杯での優勝以来、トロフィーを手にすることができていない。直近の2大会は続けてベスト8止まり。2018年のロシア大会はベルギーに敗れ、2022年カタール大会はクロアチアにPKで敗れた。アルシンド氏はトロフィーを奪回するためにアンチェロッティ監督に、こう提言した。
「守備を固めて戦わなければならない。僕ならファビーニョを起用して守備を助けさせ、その代わりにパケタを外すね。パケタが悪い選手だとか良い選手だとか、そういう話じゃない。今のサッカーではあまりにも無防備な戦い方はできないんだ」
 アルシンド氏は、左のインサイドハーフのルーカス・パケタが守備に汗をかかないことを問題視し彼をスタメンから外してファビーニョを起用することを主張した。
 アルシンド氏は攻守のバランスが優勝のためには不可欠だと考えていて、1994年の米国大会でカルロス・アルベルト・パレイラ監督がライーを外し、マジーニョを起用する決断を下して優勝に導いたこと、また日韓大会では、ルイス・フェリペ・スコラーリ監督が、守備を重視してジュニーニョ・パウリスタに代えてクレベルソンを起用して5度目の頂点に立ったことを例に出したという。
 アルシンド氏は、こんな言葉でESPNブラジルのインタビューを締めくくっている。
「こんなことを言っておいて、ブラジルがそのまま優勝したら『あいつは大外れだった』と言われるかもしれないよね。だってブラジルには優勝する力があるんだから。残りは5試合。友よ。ここからはすべて一発勝負だ。だから言うんだよ。守備を固めて全力でぶつかろう。勝ち切れないならPK戦へ持ち込めばいい。延長戦になっても構わないんだと」
 果たして勝利の女神は、どちらに微笑むのか。

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