「自分から先に動く」なぜGK鈴木彩艶は15年ぶり勝利のPK戦で”神セーブ”を見せたのか…プレミアで磨いた”駆け引き”と森保監督が新たな「プレーモデルを作った」正確無比なロングキック
サッカーのキリンカップの準決勝が1日、横浜国際総合競技場で行われ、日本代表がエクアドル代表を0-0からPK戦の末に5-4で制して、ニュージーランド代表との5日の決勝(MUFGスタジアム)へ進んだ。PK戦ではセリエAのパルマからプレミアリーグのアストン・ヴィラへステップアップ移籍したGK鈴木彩艶(24)が、エクアドルの3人目を完璧にセーブ。その成功裏には急成長した鈴木が仕掛けた”駆け引き”があり、森保一監督(58)は、正確無比なロングキックをチームの新たな攻撃パターンとして組み入れたことを明かした。
僕のキックからチャンスが生まれる
右手で小さくガッツポーズを作った彩艶が吠えた。
ともに2人ずつが決めたPK戦。先蹴りのエクアドルの3人目、MFデニル・カスティージョがゴール右隅を狙った一撃を判断よく左へダイブした彩艶が両手でしっかりと弾く。こぼれたボールがポストに当たり、ペナルティーエリア内へ転がっていく光景を目で追った直後に守護神が見せた姿が日本の勝利を確信させた。
ともにゴール右隅へ決められたエクアドルの1本目と2本目も、彩艶はしっかりとコースに反応していた。しかし、実際は違ったと試合後に明かした。
「同じ方向に跳んでいたというより、相手が自分の動きを見てから蹴ってきました。僕もボールを見ながら、コースが甘くなったら止められるかな、という感覚でした」
そして3本目を前に自ら仕掛けた。彩艶が胸を張って続ける。
「止めたシーンは相手のキッカーの特徴を見ながら、自分が先に動こうと意識していました。かなり厳しい戦いの中で守備陣として失点しないところを意識して、僕としては最後の最後に止めて、勝ち切れたのは良かった。できればもう1本止めて(PK戦を)落ち着かせたかったですけど、まず先手を取れたのも良かった。」
頭の中に叩き込んでいたカスティージョの特徴をフル稼働させ、蹴ってくる、と瞬時に判断した方向へ跳んだ完璧なセーブ。対する日本は中村俊輔コーチが人選し、森保一監督が一部を修正した上で指名した上田綺世(リール)、鎌田大地(クリスタル・パレス)、伊藤洋輝(バイエルン・ミュンヘン)、相馬勇紀(FC町田ゼルビア)、そして前田大然(イプスウィッチ)の5人全員が成功させた。
A代表がPK戦を制したのは、アルベルト・ザッケローニ監督の下で臨んだ2011年1月の韓国代表とのアジアカップ準決勝以来、実に15年ぶりとなる。2022年のW杯カタール大会のクロアチア代表とのラウンド16をはじめ、PK戦にまつわる苦い記憶を断ち切った彩艶はスタンドを埋めた6万5012人の大観衆と、プレッシャーにもまったく動じなかった頼れる先輩選手たちのキックに感謝した。
「スタジアムを味方につけて1本止めて、あとはチームメイトが決めてくれました」
脇腹を痛めていた影響で、9月24日のウルグアイ代表戦(キューアンドエースタジアムみやぎ)を欠場した彩艶は、同28日のベネズエラ代表戦(エディオンピースウイング広島)の後半からゴールマウスに立った。そして、パナマ、ニュージーランド両代表を含めた4カ国がトーナメント形式で対戦するキリンカップ初戦で満を持して初先発。そして前半開始30秒で横浜国際総合競技場をいきなり沸かせた。

