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鹿島アントラーズの新監督に決まったランコ・ポポヴィッチ(写真:西村尚己/アフロスポーツ)
鹿島アントラーズの新監督に決まったランコ・ポポヴィッチ(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

「優勝できると本気で思っているのか?」英断か迷走か。鹿島の新監督にJリーグで優勝実績のないポポヴィッチ氏就任で賛否

旧知の間柄ゆえにチーム作りもスムーズに進むとメリットを強調した吉岡FDは、2011年以降は鹿島の強化部の一員としてポポヴィッチ氏の仕事を見てきた。
 同シーズンにはJFLの町田をJ2に昇格させたが、翌2012シーズンから指揮を執ったFC東京では得点力をアップさせるもその分、失点もかさんだ。2014シーズンに就任したセレッソでは柿谷曜一朗や南野拓実、山口蛍、ディエゴ・フォルランらを擁しながらも低迷。ポポヴィッチ氏は6月に解任され、セレッソも最終的にJ2へ降格した。吉岡FDが言う。
「時代も違うし、選手の顔ぶれも違うので単純な比較はできませんが、FC東京時代のスタッツを見ると、傾向としては攻撃面でのアップデートができる監督だと思っています。それをいまの鹿島に落とし込めれば、必ずいい形で結果が出るんじゃないかと。セレッソ時代を考えると、難しかったんだろうな、というのは想像できます」
 陽気で気さくな一方で、選手には非常に厳しく接する。2度目の町田監督に就任した2020シーズン以降は、今年から鹿島に所属し、日本代表にも選出されたボランチの佐野海舟(22)を一本立ちさせた。しかし、厳しい指導との関係性はわからないが、昨シーズンの佐野は夏場にオーバートレーニング症候群を発症し、後半戦をすべて欠場している。
 オフに持たれた佐野との契約交渉の席で、ポポヴィッチ氏との関係に「問題はない」と確認した吉岡FDは、同時にこんな言葉も残している。
「選手へのアプローチのところで、いろいろと腹を割って話しました。彼は非常に強く、厳しい監督ですが、アプローチの仕方を含めてアジャストさせていかなければいけない部分もある、という点は非常に多く議論しました。彼自身もいろいろな指導や、日本でやっていく上での課題を見つめ直しているので、成長した彼を見てもらえると思っています」
 今シーズンの町田は青森山田高から異例の転身を遂げた黒田剛監督(53)のもとでJ2を制し、悲願のJ1昇格を決めた。しかし、ポポヴィッチ前監督に率いられた昨シーズンまでの3年間は順に19位、5位、15位だった。日本での実績の乏しさに加えて、吉岡FDのいわゆる“お友だち”に再建を託す人事が周囲を不安にさせているわけだ。

 

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